イキルキス (講談社文庫 ま 49-10)
イキルキス (講談社文庫 ま 49-10) / 感想・レビュー
徒花
久方ぶりの舞城王太郎。中篇3本に書き下ろしの短編が2つ収録されている。書き下ろしはちょっとイマイチ。個人的には表題作と『パッキャラ魔道』が好み。相変わらず改行が少なくてミッチリと息つく暇もなく文章を羅列させるスタイルで、よくわからない描写が延々と続いたりするのもまたMAIJOスタイルなわけで、私としてはやっぱりそこに表題作くらいの青臭いセックスくささとファンタジーをまぶした甘ったるい作品のほうが好きなのです。山田詠美とかもそうだけど、モテる主人公ってやっぱりいいね。
2018/10/22
優希
独特の感性があると思いました。改行の殆どない文体は、読者を引き込む力があるのではないでしょうか。癖があるので、読み手は選びそうですね。5編の物語はどれも毒舌ですが、愛は感じます。
2018/01/29
つねじろう
その時頭に心に浮かんで来た心象をノンコントロールで言葉にしてみようみたいな溢れ出る言葉の洪水のいつもの舞城王太郎。変に遠慮したり洗練されてない分未熟だけど生の気持ちや気分が伝わって来て新鮮。特にここに集められた其々のミステリアスな状況での初めてのキスだったり、不毛なセックスと暴力と芸術だったり、家族の愛や絆だったり、恋愛を含めた人間関係の煩わしさだったりの摩訶不思議な内面世界を語るには相応しい表現方法かも知れない。いつも通りに摩訶不思議の説明は一切ない。あと福井弁のリズム感とスピード感が大変お気に入り。
2015/08/07
さっとる◎
勘弁してくれ世界に色がつきすぎている。全部イヤんなって疲れてるからモノクロでいきたい。かと言って白黒キッパリよござんすねと迫られてもそれはそれでもっと疲れそうだからノーサンキュ灰色系で。全てあるがままと微笑む仏になれんのなら無感情の境地に逝きたい。舞城もちゃんと書いている。人間めんどくせーし最悪だしいいことないし何なのもうただ痛い。楽したいって生きてるのに全然楽じゃない。もっかいやり直したくもないしけどやり直せるならあの時ああ…はでもしないだろ私なら。一生懸命は楽じゃないけど楽しい?とか言って世界は極彩。
2021/10/30
絹恵
敢えて攻撃的な方向から見て削ぎ落として行ったら、人はやっぱり最後には優しい気持ちが残るという訴えだと感じました。こうした気持ちの伝え方に応えるには、自分も裸足にならなければ受け取ることは出来ないのだと痛感しました。変わって行くことが多いなかで、変わらないことの本当の強さを思い出させてもらえました。
2014/04/27
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