新装版 和宮様御留 (講談社文庫 あ 2-4)
新装版 和宮様御留 (講談社文庫 あ 2-4) / 感想・レビュー
はたっぴ
和宮降嫁を巡る替え玉説からこのような作品を描いたという著者の筆力に圧倒されつつ読了。文中の御所言葉につまずきながらも頁を捲る手が止まらず、歴史の大きなうねりの中で、声を上げることも出来ずに犠牲となったフキが不憫で仕方なかった。とりわけ、桂の御所でフキが和宮の身がわりとなるよう躾けられる場面は惨すぎて胸が裂ける。和宮に仕える女性達の軋轢も凄まじく、大奥での天璋院との対立場面では、宮尾さんの『天璋院 篤姫』を思い出し、時代に翻弄されながらも自身の役割を全うした女性達の強さに心を打たれた。『篤姫』も再読したい。
2018/05/20
molysk
公家屋敷に仕える下女、フキ。和宮の生母、観行院からお召しを受け、桂の御所を訪れると、なされるがまま和宮の替え玉に仕立て上げられる。命ぜられるまま、徳川将軍家への降嫁に向う輿に乗せられるフキ。心許す人からは遠ざけられ、秘密を知る人からは軽んじられ、自らの抱えた秘密の重みに耐えかねたフキは――。公武合体という大義に翻弄される女性たち、という新たな視点を投げかけたとされる本作だが、貴人のために平然と切り捨てられる庶民、という印象も色濃い。温和な京ことばの裏に、冷徹なまつりごとの影が差す。そんな怖さを感じさせる。
2021/09/18
も
これは凄い。ただの替え玉の御輿入れかと思いきや後半一気に目が離せなくなります。何を言ってるのか全然わからなくてすっ飛ばした会話を噛みしめてもう一度読みたい。
2017/01/26
カピバラ
和宮様は、替え玉だった?面白かった~フキが気づいたら宮様に似せられて、入れ替えられていたシーンには驚愕。雅な美しさを持つ小説でした。フキは兎に角不憫。
2015/11/17
ソーダポップ
本書は、幕末から明治にかけての時代に「公武合体」の名目で皇女和宮が、将軍徳川家へ降嫁したという、紛れもない史実に従いつつ、実際に嫁いだのは和宮本人ではなく、替え玉だったという作者の大胆な推理に基づいて、一人のうら若い少女の悲運を描いたものである。物語が事実であるかどうかではなく、読む者に如何にリアリティを感じさせ、ひいては感動へと誘うかが感じられた。物語創作における事実と虚構という重要な側面を明確に示す事になっていて、同時に作者の「創造の方法」の一端を垣間見ることの出来る、そんな感動の著書でした。
2023/01/15
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