神様の贈り物 (講談社文庫 き 52-6)
神様の贈り物 (講談社文庫 き 52-6) / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
ハードカバーで読んで以来、6年半ぶりの再読です。表情、そして感情がない殺し屋「チャンス」は'仕事'を終えてから、ちょっとした行き違いからバスに乗るハメになり、たまたま遭遇したバスジャック犯を'制圧'します。これがキッカケで一躍ヒーローになった「チャンス」をまた別の殺し屋が狙い、一発の被弾が彼の運命を大きく変えるコトに。とにかく「チャンス」が魅力的すぎて、時折みせる人間らしさに涙さえ出そうになります。行く宛のない逃避行のさなかに関わる人々とのふれあいをもっと深く書いてほしかったと感じるのは贅沢でしょうか?
2019/08/18
ナルピーチ
相変わらず木内作品は登場人物が魅力的で躍動感が引き立つ!今回の主人公は感情を持たない殺し屋“カン・チャンス”。前半パートはとってもアウトロー!バスジャック犯との対峙にヤクザの暗殺などスピード感あるアクション劇を存分に満喫すると、後半では大きく物語の趣向を変えてまったく違った展開で更にグイグイと読ませる。感情を手にし、様々な人との触れ合いによってチャンスに芽生えていく“心”とは…。最後の展開からその後の結末がまったく想像つかないが、与えられた“神様の贈り物”をしっかりと掴みとって新しい人生を歩んで欲しいな。
2022/12/17
ユザキ部長
神様からの贈り物は「罰」でしかなかった。生きてるだけで人を不幸にし続けた。不幸になる為に幸せになる。それって、脳内で発生する分泌物は神様の仕業なんじゃないか?それでも残っていた大切な記憶。人は愛情なくして生きられない。永遠を感じさせる終わり方。なるほど。
2017/09/28
chiru
無表情で無反応、全てにおいて無関心な殺し屋チャンスは、バスジャック事件に遭遇し乗客を助け一躍ヒーローの座についたが、頭を撃ち抜かれたあと奇跡的に蘇った。そして彼の目に映る世界は劇的に変わっていく。脳障害が取り除かれ『心』を手にいれたチャンスは自分の過去と対峙することに… 。殺し屋の人生から目が離せず、気づいたらチャンスを応援してた。彼は自分にもあるはずの『心』を取り戻すことはできるのか?『神様の贈り物』とは?…目を覚ますとそれまでなかった『心』があったんです… 希望があるところに人生がある…そう信じたい。
2023/03/27
chimako
可哀想なチャンス。病気で感情が欠落し父には愛されず母はチャンスと心中を試みる。母を傷つけたチャンスは父に1000万で売られ殺し屋になった。チャンスは誰の顔も覚えない。チャンスを買ったのはヨモギダ。ある事件がきっかけでチャンスはそのヨモギダに脳を撃たれ生死のはざまを彷徨う。目が覚めたときチャンスを今までと違う空気が包む。花をきれいだと思う、無糖紅茶を美味しいと思う、本を面白いと思う。そして、幸せとは何かを考える。ヨモギダの顔を見てチャンスが考えたこと。殺し屋を応援する自分にハッとしながらのラストの余韻。
2019/04/12
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