ロカ (講談社文庫 な 41-22)
ロカ (講談社文庫 な 41-22) / 感想・レビュー
つねじろう
う〜んこれはねルール違反かな〜ってほど面白い。中島らもだから書けるし中島らもしか書けない。絶筆になったこととその最期も含めてルール違反。私小説にしてファンタジーとなるのは流石と云うか稀有。ジム・モリスンにバーボンソーダ。アル中でハッパからヘロインまでやりたい放題の68歳の不良爺い。19歳でバージンの息をのむ美人のアナウンサーに惚れてバラードを作る一方で、言葉狩りの世界やエセ宗教家をぶった斬る。博識でグルメ。ね、危険な魅力一杯の爺いでしょ。途中だけど完成している作品。ルカとロカ。カッコ良くて堪らない。
2014/07/27
kazi
10年ぶりぐらいの再読。おそらく著者本人を投影していると思われる主人公の老作家・小歩危ルカは巨額の印税を得てホテルで独り暮らし。ある時、ふらりと入った楽器店でWネックのギター“ロカ”を手に入れたところから、主人公の内部に潜んでいたアナーキズムが加速し始めて、NHKの生放送でマリファナを吸いながら放送禁止用語満載の歌を歌うわ、19歳の女の子に懸想して香水を買うわ、滅茶苦茶なことをやり始めちゃって・・、みたいな話。私は著者のサービス精神全開の文章が大好きで昔から非常に耽読してきました。
2021/06/06
TSUBASA
中島らもが死ぬ直前まで書いていた近未来私小説。若い頃はミュージシャンをやり、文筆活動にうつりつつも酒に狂い人を避け、老生に入った小歩危ルカは六弦+十二弦のツインネックギター「ロカ」を傍らに新宿を歩く。著者死去のため絶筆と言うのが悔しいが、彼の生き様や哲学をありったけつぎ込んだ小説だったのではないかと思う。ルカが生放送で放送禁止用語と連発して嗜められながらも悪びれず「言葉狩りが作品の質自体を変えてしまうんだ。」というシーンが強く共感した。古いロックに言及している所多数で、その辺が好きな人に薦めたい。
2018/03/04
hope
“ロカ”とはギターに名付けた名前だ。二本のネックのそいつを抱えて新宿を徘徊する老作家が、年下の伝説のロックミュージシャンと意気投合してじゃれたり、孫ぐらいの年齢の女の子に恋をしてみたり。それでも60代は「失っていく年代」で、何かを獲得する季節ではない。 人間には皆役割があるのだ。役割を終え
2021/12/30
ちぇけら
「六十代は「失っていく年代」で、決して何かを獲得する季節ではない」だけどきみを愛している。きみを所有しようなんて思っちゃいない。性的なファンタジーにして偶像化してオナニーしようとも思っちゃいない。ただきみがいるというだけで充分なのさ。「♪鍵はおれが持ってるよ/OH,MY LITTLE PRISONER No.81/窓を開けてあげるから/ククッと笑って鳴いて/遠い空へはばたいていきたいな」らもさんはこの小説を、どう終わらせるつもりだったんだろう。それを考えることも、プレゼントみたいだ。
2019/01/19
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