逃走 (講談社文庫 や 61-5)
逃走 (講談社文庫 や 61-5) / 感想・レビュー
三代目 びあだいまおう
『圧倒!これが薬丸岳の底力』と帯が叫んでいた。とうに死んだはずの男が生きていて、衝動的に問い質し殴り殺してしまった青年。母親が殺人容疑で捕まって以降、苦しみ我慢しながら幼い妹と必死に生きてきた青年が傷害致死で指名手配!逃走しながらも彼には目的が。親が隠し通した秘密、苦しみの連鎖は避けられなかったのか。あの時の選択は正しかったのか?設定とプロットは見事!疾走するように読み進む。が、展開と謎が容易に想像できて事前期待の煽りを恨む。罪と罰、後悔と苦しみ。私が青年の立場だったら!とても責めることはできない‼️🙇
2020/02/02
ミカママ
ふむふむ、なるほどね〜。突き詰めてしまうと、ミステリーにありがちな「出生の秘密」が縦糸のストーリー。さしずめ、兄妹愛が横糸か。「あーいいなぁ、あたしもこんなお兄ちゃんがほしいなぁ」と思いを馳せながら読了。テンポよくグイグイ読ませる筆力は、さすが薬丸さん、でした。
2015/07/18
hit4papa
殺人を犯してしまった青年の逃避行を描いた作品です。幼い頃、母が父を殺害したため、妹との施設での暮らしを余儀なくされてしまった主人公。不幸な生い立ちにもめげず慎ましく暮らしていた彼が、逃亡してまでも確かめたかったこととは何なのか。と、薬丸岳作品の代名詞ともいうべき家族をテーマにした重~いストーリーです。主人公が明かにしていく両親の過去。2/3ぐらいで、せつない真相は判明してしまうので、もうひと捻りちょうだい!とつぶやいてしまいました。連載時から単行本、文庫と内容が異なるらしくマニアな心をくすぐります。
2018/02/06
じいじ
薬丸さん、上手い!面白い。緻密な物語の組み立ては流石です。いきなり傷害致死の事件が…。犯人の「逃走」と裏に潜む過去の謎が本筋。犯人の被害者への怨念を核に謎解きが綴られる。根底に流れるイジメ問題、親友って?、母親とは?、家族って?…についても考えさせられた。読了後に心地いい余韻が残るエンタメ・ミステリーです。
2018/01/13
アッシュ姉
初めて読む作家の本だったら、面白いと思ったかもしれない。薬丸作品としては物足りないので少々辛口。タイトルからハラハラヒリヒリする逃亡劇を期待してきたが、追い詰められていく緊迫感はあまり感じず、逃げ続ける心情も響いてこないし、逃走理由も弱い。真相が解き明かされていく展開は巧いが、意外性は薄い。そもそもの発端の出来事で取った対応が納得できないので、全体的に腑に落ちない印象。あの家族にはもっと違う選択があったのではと思わずにはいられない。
2016/10/05
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