KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

変愛小説集 (講談社文庫 き 65-1)

変愛小説集 (講談社文庫 き 65-1)

変愛小説集 (講談社文庫 き 65-1)

作家
岸本佐知子
出版社
講談社
発売日
2014-10-15
ISBN
9784062779074
amazonで購入する

変愛小説集 (講談社文庫 き 65-1) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

依空

再読。”変”愛小説とタイトルにある通り、木に恋をしたり、バービー人形と真剣交際をしたりと、収録された11編はどれも変わった愛のお話。私達の常識からみれば、彼らの愛は確かに変なものにしか見えないけれど、相手を本気で愛おしいと思う気持ちがこれ以上ないくらいストレートに描かれているので、実はとても純粋な愛の形を描いているだけなのじゃないかと思えてきます。けれど、愛と狂気は紙一重。行き過ぎてしまえば、純粋だったはずの愛も異常行為になってしまうという危険性も表れていました。作家の想像力の豊かさを十分に味わえる1冊。

2017/02/07

HANA

木に片思いした人、バービー人形と付き合っている少年、母親だけが存在する島。「恋」愛ではなく「変」愛、極めて奇妙な愛の形を取り扱ったアンソロジー。その名に恥じずどれもこれも奇妙な味の小説を、たっぷりと味わう事が出来る。ただその中の愛はとってもピュア、何かを一思いに思い詰めると「変」になるのですね。気に入った話は愛する人との共同生活を描いた「丸飲み」バービー人形との恋愛「リアル・ドール」ハウツー物のパロディ「お母さん攻略法」等。現実に即した話で、誰と誰がくっついたとか別れたとかいう話には飽きたあなたにどうぞ。

2017/10/10

sin

変愛とあるが変ではない。男女を問わず愛の多様性をカタログにして見せられているようだ。木に恋した女は、そのパートナーに馴れ初めし頃の変わらぬ彼女を感じさせる“五月”。セレブはアルバイトの少年を体内に囲い、少年はところ構わず体液を垂れ流し欲望に蕩ける“まる呑み”。兄は妹のバービーと愛欲に耽り、ケンに欲望を移す“リアル・ドール”。帰らない父達を待つ娘達は、流れ着いた男に惹かれて身を任し、母達は男を始末する“母たちの島”その他、愛と云う上書き保存をする前の欲望の物語たちと云ったところか?

2019/05/05

天の川

「恋愛」ではなく「変愛」。でも、当の本人にとっては、まさしく恋愛だ。1編目のアリ・スミス、ご近所の木に恋してしまった人物とそのパートナーの『五月』(ラストがとても美しい)から驚きの連続。2編目のヴィサビッチ、皮膚が宇宙服に変わっていき、完成した時点で宇宙に飛んで行ってしまう奇病にかかった夫婦のドタバタ『僕らが天王星につく頃』、芝生を刈りに来た青年をディープキスで呑み込んでしまった『まる呑み』、ボーンチャイナを極めようとエスカレートしていく『柿右衛門の器』…岸本佐知子さん好みの変な愛が満載の一冊。

2024/04/11

さおり

岸本佐知子さんが好きなので、翻訳本は苦手だけどがんばってみました。確かに、どれもこれも変で、どれもこれも愛。おもしろいのもあったし、本当に意味がわからないのもあった。皮膚が足からだんだん宇宙服に変わり、やがて宇宙に飛び立ってしまう流行り病にかかった人の話「僕らが天王星に着くころ」や妹のバービー人形との真剣交際を描いた「リアルドール」、母親との恋愛を勧める「お母さん攻略法」などなど。日本作家編もあるらしいので、そのうち読んでみたい。

2019/02/17

感想・レビューをもっと見る