赤の他人の瓜二つ (講談社文庫 い 131-1)
赤の他人の瓜二つ (講談社文庫 い 131-1) / 感想・レビュー
Bartleby
本書でも語り手は自信満々に意味不明な断言をする。それを足場にして、へんな世界に連れていかれる。しいて言えば“チョコレートの歴史”。まったく要約しようのない小説だ。だからこそこれは本作を読むことでしか体験できない時間。彼の小説を読むとライプニッツのモナドを思いだす。あるいは華厳経?モナド1つが、露一粒が、世界全体を写しだす。彼はそれを、1文の中でやろうとしてるように思われる。
2023/06/19
乱読999+α
久々の磯崎氏作品。過ぎゆく時の流れを捉まえるのは困難菜事。たゆたゆと流るる中に身を任せながらも、自己の老いと他人のそれとを比べることの無意味さ。老いだけではない。人はどこかに自分に似た人、瓜二つな人を見つけてしまう。血が繋がっていなくとも。でも、それがどうした?唐突に終わる物語は、面白くもあり、難解でもあった。
2020/08/28
kuukazoo
この人は謎なんだな。読むのは3作目だが、なんでこんな小説を書けるんだろうと不思議でならない。小説の可能性とか小難しいことはわからないのでどうでもいいが、やはり読むことが理解よりもライブとか体験というかそんな感じなんである。どこへ行くのかな〜と思いながらくっついていく、その過程がスリリング。
2015/08/06
keiniku
チョコレート、を通じて人生が繋がっているのだが、今まで読んできた磯崎憲一郎の「電車道」「日本蒙昧前史」が広く俯瞰した絵が見えてくるのに比べ、これはどちらかというと先で繋がっている感触だ。 時代と国の違う線と、現代の「息子」とそこから枝分かれする線と。一気に読んでしまうスピード感のある話だ。
2021/02/16
galoisbaobab
ジワジワ面白いしジワっと感動しつつオヤ?と突き放される。一人称で語り始めた物語はいつの間にか三人称に変わりモノとコトを介在して展開していく詩的な質感です。プロコフィエフの交響曲がすきな人にはあうかもね。オレはすきです。
2015/09/03
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