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地の底のヤマ(下) (講談社文庫 に 28-13)

地の底のヤマ(下) (講談社文庫 に 28-13)

地の底のヤマ(下) (講談社文庫 に 28-13)

作家
西村健
出版社
講談社
発売日
2014-11-14
ISBN
9784062779579
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地の底のヤマ(下) (講談社文庫 に 28-13) / 感想・レビュー

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goro@80.7

どっぷりと浸った上下巻1400頁を読み終え知らない事、知ろうとしない事であった炭鉱の町大牟田の歴史の一面を知らされた想いです。物語は主人公の警察官鉄男の半生だけど戦後から現代にいたるまでを描き切った町の、家族の、仲間の大河物語。贖罪を背負う鉄男と悲惨な炭鉱での出来事と運命とも言える事件の数々。通底する父親の殺人事件を通して町に生きる人々の背景も鮮やかに罪とは何かを語りかけてくる。生きる光を見いだせたラストに救われる。長かったけど西村健面白いぜ。

2021/04/25

hrmt

重い業に愚直に対峙する鉄男にとって、少年時代の希望を託した2人の友の変容は受けとめ難かったろう。菅の本心は別としても、櫟園の本質が変わらず心安らかな人生に戻れた事にホッとした。父の死の謎も明かされてみれば苦しく、誰もが清廉潔白なだけでは生きていけなかった。信念に基づいた行為も他人は全てを理解してはくれない。諦念を潜め、誰も幾らかの暗部を内包したまま生きる。炭鉱の町が負の遺産をのみこんだままま、それでも今在るその日の営みに幸せも見いだせるように。町の歴史も、人の生き様も、そんなものなのかもしれないと感じた。

2016/11/09

うめ

一人の男の半生に寄り添った骨太のストーリー。繰り返される描写が冗長なので、それを削って(長いので、一気読みしない方にはありがたいかもだけれども)もっと深く人間関係の有様を読みたかった気もする。幼馴染との描写とかをもっと。話言葉に馴染みがあるから、というのもあるかもだけれども、人がリアルで没入感が半端なかった。特にラストの美しさと力強さには惚れ惚れした。闇夜を経験しなければ、朝日の輝きの美しさに気付けない。生かされているのだ。の言葉が心の中にこだまする。

2018/09/17

さんつきくん

長かった。大牟田市の歴史を堪能できる一作。第3章、時代は昭和と平成の境目。猿渡は大牟田市の端っこの派出所に勤務していた。だが、県警の中央とのパイプは途切れていなかった。一家三人殺害事件を追っていた。第4章は現代が舞台。炭鉱で栄えた歴史は「つわものどもが夢のあと」で、往時を思う染み入るような描写が印象に残る。炭鉱跡や社宅が様変わりしているのである。で、結局、R資金は曖昧なママ、読者に判断を委ねる描写に成程とか思いつつ。ラスト50pくらいで猿渡の父の死の真相が暴かれる。濃い人間ドラマでした。

2019/01/14

さとみん

最初は分厚さに驚いたが、読み始めたら引き込まれてものすごく面白かった。各時代の事件関係者がその後も繋がる人間関係も面白かったが、何より舞台となった場所が馴染みある町だったのが大きい。読んでる間は里帰りしている気分だったから登場人物全員が身内のように思えて、その後の消息をほぼ全員盛り込んでくれたのも嬉しかった。そしてヒカッしゃんのエピソードはどれも大笑い。無茶苦茶なのに憎めない人だ。唯一の心残りはあの人が一度も痛い目にあわなかったこと。あのまま上手く立ち回るのかと思うと悔しい。

2016/11/19

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