誰も戦争を教えられない (講談社+アルファ文庫 G 256-1)
誰も戦争を教えられない (講談社+アルファ文庫 G 256-1) / 感想・レビュー
harass
各国の戦争(平和)博物館の訪問記をまとめ、戦争の記憶についての考察。パールハーバーから始まり、中国韓国、アウシュビッツ、イタリア、沖縄と戦争に関する博物館の実態と風化する戦争の「記憶」や博物館についてを語り、分厚い本だったが思いの外速く読める。右派とか左派とは関係なく、クールで相対的な視点で論じていて軍オタの自分も納得。著者も驚いていたが、イタリアにはこれに類する博物館が存在しないそうで、各国の歴史が異なると常識も異なると驚かされる。軽い文章で薄く感じるが実に読みやすい。ちょっとはこの著者を見直した。
2017/11/15
タルシル📖ヨムノスキー
アメリカ、ヨーロッパ、韓国、中国、そして日本国内の戦争博物館を巡りながら、それぞれの国が第二次世界大戦をどう捉えているかを明らかにしていく本書。両論併記ではないけれど、戦勝国、敗戦国それぞれの視点を知ることができてこれは面白い。そういえば戦争博物館はおろか原爆資料館にも行ったことないな。最後に古市さんとももクロの対談が収録されていて、これがもうはちゃめちゃ。ももクロのどこまでが演技(演出)なのかはわからないけど、お偉い学者さんや政治家が読んだら激怒か卒倒するかも。理屈はともかく答えは案外シンプルなのかな。
2023/11/22
たまきら
だんなさんが借りてきた本。どんな内容なのかと思って手に取ったら、思想というよりも博物館のテーマをくみ取る内容で興味深かった。人の生死がかかわったこの歴史では、冷静で中立的な展示を求めることが難しい。そういう展示システムを採用しているはずの欧州ですら難しい。ましてやアジアはやりたい放題である。もうこれは笑ってしまうしかない。一人の無邪気なまでに無知な男性が、様々な出来事にぶつかっていく童話のようでした。
2015/12/14
Sakie
「あの戦争」を体で知る世代がいなくなり、ハコモノの博物館は大きな齟齬を抱えたまま経年劣化し続ける。そして日本には"唯一の真実"が無い。他国や日本の博物館を数々訪れたうえで、あえて戦争を知る必要はない、と著者は言う。「あの戦争」を知らず、息詰まる日常こそ平和と教えられた世代への解答のような結論だ。世界に散らばる無数の小さな記憶、その痕跡。これらの価値は高い。戦争の微細な出来事を事細かに記憶する必要はないのだ。ただ、その悲しみと愚かさを伝えるためだけに全ての展示物、全ての記憶に意味はある。私はそう考えたい。
2019/08/21
みっくん
8月15日にいやらしく感想を書くという。。。「誰も戦争を教えてくれなかった」の文庫版。戦争博物館にその国の「あの戦争」に対する向き合い方が出ているようで、日本はというと。。。 池上先生も火垂るの墓も、誰も戦争を教えられないみたいだ。様々な認識がある以上それを自分の中で昇華させるしかない。特に日本は。
2015/08/15
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