しんがり 山一證券最後の12人 (講談社+アルファ文庫 G 258-1)
しんがり 山一證券最後の12人 (講談社+アルファ文庫 G 258-1) / 感想・レビュー
遥かなる想い
第36回(2014年)講談社ノンフィクション賞。 1997年破綻した 山一証券に残り、真相究明と 清算処理を続けた人たちの物語である。 総会屋への利益供与、粉飾決算、簿外債務、 法人営業の暴走..次々と明らかになる真実は まるで 物語を読むようである.. 「1998年3月31日の全員解雇の日」が心に 刺さるような本だった。
2017/07/26
yoshida
1997年11月、四大證券の一角と言われた山一證券が、多額の簿外債務により自主廃業を発表。会社更生法申請は許されず、完全に倒産する事を意味する。なぜ山一證券は倒産に至ったのか。そして役員や従業員が去り行くなか、「社内調査報告書」を作成し、山一證券破綻の「しんがり」となった業務監理本部の必死の働きを描く。私が大学生の頃に山一證券は破綻し野澤社長の会見を見た。本作は経済小説としての見方や、企業人としての見方もでき、実に面白い。山一證券が簿外債務を膨らませた背景。官民癒着の構図。嘉本達の矜持。実に読ませる作品。
2016/12/31
ナイスネイチャ
図書館本。社長の号泣会見しか記憶にないぐらいもう過去の出来事になっている山一証券の廃業事件。破綻の原因を色々綴ってましたが、社員が九割も再就職できた事、社員が退職金がわりに持っていた自社株の額にびっくりしました。
2016/09/02
佐々陽太朗(K.Tsubota)
山一証券が破綻したのは1997年。当時私は38歳であった。その頃の私ならこの本をどう読んだだろう。興味の持ち方と強さが違っていたのではないかと思う。今、仕事で株主総会や財務、コンプライアンスに少なからずかかわる立場にあって、この本に書かれていることの意味は重い。全て実名で記載されているのも衝撃だ。ほとんど夜を徹して読み切った。眠気も吹っ飛ぶほどの内容だった。すごい。
2015/12/25
のっち♬
破綻後の山一證券に残り内部調査と清算業務を担った業務監理本部。「一文の得にもならない事実解明と公表を土日返上、無制限残業で続ける」理不尽に挑む律儀で志操高いサラリーマンの描き方は『会社葬送』に比べドラマチックかつ勇壮な色合いで、殺人や病が降りかかる中で百日以内に債務隠しの全貌を暴くサスペンスと相乗効果を発揮。用語や破綻機序の説明も端的で社会派として実に魅力的。後年浮上した営業暴走や副社長左遷からも隠蔽体質の深刻さが伺える。"貧乏くじ"ではなく転じることを怖れなくなった"人生の通過点"と振り返る余韻が爽快。
2023/11/10
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