帝都万華鏡 桜の頃を過ぎても (講談社X文庫 はG- 1 ホワイトハート)
帝都万華鏡 桜の頃を過ぎても (講談社X文庫 はG- 1 ホワイトハート) / 感想・レビュー
紅茶あめ
序章では攻め受けが判然とせず、それがかえって先を早く読みたい気にさせた。横文字がほとんど使われていなくて、重厚な文学作品を読んでいる感じ。じっとり重みがありつつ清らか。でもってやたらと色っぽい。『お前は一生知ることはないだろう。(中略)この世のすべての恩恵を蜜のように浴びている京介を、どれだけ妬んで、羨んだかを。憧れたかを。』が印象的。こう独白する琢馬は、妻と京介の双方に『可哀想』と評され、かつ愛される。ワークショップで師弟関係だったとはいえ、デビュー作の解説が栗本薫とは豪勢。初読み作家でした。好みです。
2012/08/07
も
いやあ、素晴らしかった。この一冊で鳩かなこさんのファンになりました。大正時代の退廃的な美しさ、男同士の恋愛の妖しい美しさが、濃密で艶やかな文章で見事に表現されている。一高時代から琢馬に想いを寄せていた京介と、初めて京介に会ったときの桜吹雪がずっと心を締め付ける琢馬。結婚した琢馬の傍に親友として寄り添う京介はかなり辛かっただろう。絡みのシーンはなんともエロティックで、湿り気を帯びた文章が物凄く心地よかった。続編も読みたくて堪らない。次は春洋の話と聞いて、読むのがとてもたのしみ。
2014/09/24
まるこ
今さんのイラストの雰囲気とあらすじに惹かれて前々から読んでみたかった本。ようやく読めました。決して派手さはないけれど、でもこの物語の舞台となる時代の雰囲気や登場人物達のゆっくりじっくり流れる感情の動きがとても丁寧に書かれてあって読み応えがありました。ただ、琢馬の感情がいまひとつ掴めず、最後まで琢馬には感情移入し辛かったかな(苦笑)なのでハッピーエンドでホッとした反面、どこか腑に落ちない感が残った読書感でもありました。でも続きがあるみたいだし、次も読んでみます。
2012/07/24
カノン
大正という時代を生きる人間の煌めきとか、儚さを内包した強さみたいなものが文中から強く匂いたっていてすごく好き。琢馬、京介、せつ子。三者三様の思いが息苦しくて切なくてたまらなく愛おしい。京介兄と伊部に転げ回るほど萌える。これでもかというくらい萌え満載の本でした。
2009/06/28
帽子屋
大正浪漫、挿絵が今市子とたまらなくツボだった。印象の強い登場人物達ではなかったのだのですが、お話が良かったんですよ。結婚してしまっても側に居てくた京介。陰で手をまわしていたり、既婚の琢馬の為にここまでして…という京介の気持ちが切なかった。しっかりエロもあって満足でした。
2009/05/12
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