排除の空気に唾を吐け (講談社現代新書 1983)
排除の空気に唾を吐け (講談社現代新書 1983) / 感想・レビュー
ユズル
眉間にシワをよせながら読了。ワーキングプアと呼ばれる若者が犯す通り魔事件。この本だけ読んでいたら、彼らの背景に同情せざるを得なかったと思うけど、その前に読んだ本で、そんな彼らも殺すターゲットを女子供の弱者を対象にしている、という文章にも納得していたので少々複雑。しかし『ヤミの北九州方式』にはかなり納得。以前から不思議に思っていた謎が解けた感じ。社会が悪い、制度が悪いというけど、うちの会社はいつでも人材ウェルカム。人の出入、激しいからね… 私も結局、職場探しの困難さを思うとワーキングプアせざるを得ない一人…
2015/03/22
のの
いまでこそワーキングプアや非正規労働者、若者ホームレスなど一連の貧困問題は身近な話になったけれど、この本が出た当初は個人の『怠け』『甘え』『努力不足』の問題として片付けられていた。本書はそこへ一石を投じたのだろう。そして現在は状況がよくなったかというと、とてもそんなことはなく、労働者の立場はどんどん弱くなり、反して『自己責任』や『家族扶助』の強制は強まる一方。アベノミクス、女性が輝く日本、労働者派遣法改正、原発廃炉作業、シリアでPMCの日本人が拘束…もはや排除の『空気』じゃすまなくなっている気がする。
2014/10/20
朝日堂
刺激的なタイトルを裏づけるかのように「派遣切り」「自殺」「アダルトチルドレン」「餓死」「無差別殺人事件」「民営化された戦争」というテーマが次々に語られていく。社会の底辺のさらに下で、かろうじて生きている人々の魂の叫びを筆者は丁寧にくみとり、読む者に伝えてくれる。そして考えさせられる。どうすればこの世界は平和になるのだろうか。どうすれば世界中の人々が幸せになれるのだろうか。僕はそういうときにはホームポジションである仏教に返る。知足。そして我執から離れること。国や組織は、己を変えることよりずっと難しいのだ。
2013/08/09
まいこ
民営化された戦争について初めて知った。多重債務者になっていると戦場に派遣する派遣会社(?)からリクルートされ、ヘルメットや防弾チョッキ等の装備も支給されないまま戦地に行く。仮に死んでも民間人なので戦死者としてカウントされないという。日本ではかつて練炭で集団自殺していた「メンヘラ」が、死ぬための連帯ではなく「生きさせろ」と声を上げるような運動で集まるようになったというのは大きな救い。ちょうど秋葉原事件の死刑が確定したけれど、池袋の通り魔について初めて社会背景やその人の軌跡を知って、とても言葉が出ない。
2015/02/05
スパイク
家族から、社会から排除され続けると、排除最高レベルである『自分自身』からも排除されいてるという意識を持つ状態に陥る。著者自身が排除されてきた経験をもつが、破れかぶれでは社会というシステムに勝てないことを身をもって知り、自身の活動を通して声をあげている。そうです、唾吐かなきゃ、誰も見てくれません。ガンバレ雨宮ぁ!(ガンバレって言葉、限界まで頑張っている人への掛け声じゃないな)フレーフレー雨宮ぁ!(なんか、運動会みたい)マンマミーヤ雨宮~ゃ!
2014/04/06
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