はじめての言語ゲーム (講談社現代新書 2004)
はじめての言語ゲーム (講談社現代新書 2004) / 感想・レビュー
踊る猫
ずいぶん「俗っぽい」雰囲気だなあ、と思いつつ読む。身も蓋もないというか、難解なウィトゲンシュタインをここまで噛み砕いて解説するとは、とその(著者らしいといえば著者らしい)知的な野蛮さに呆れるやら感心するやら。だが、ここで開陳される私たちがどうしたって外に出られやしない「言語ゲーム」の本質は、この本が指し示した地平を更に超えてもはや個々人が自分自身の閉じた「言語ゲーム」の中を生きている時代だからこそ、ある種の苦味とともに読み返して肝に銘じなければならないのかもしれない。「哲学」したい人にはうってつけの一冊だ
2022/06/22
特盛
評価3.5/5。後期ウィトゲンシュタインで重要な概念、言語ゲームに関する紹介。言語ゲームは規則、ルールに従った人々の振る舞い。この規則を記述し、規則間の関係を明らかにする営みの意義が主題だ。理論を超え、物事の捉え方としての包摂性と可能性を紹介する。悟りや、国学を素材に橋爪流言語ゲーム観も示す。語りえぬものを語りうるようになった前期後期の転回過程の紹介に、社会との関わりを無視しない人間ウィトゲンシュタインへの愛が垣間見え。ポストモダン思想が無責任な批判、相対主義に陥りやすい点も著者が強調したいところだろう。
2024/06/01
そふぃあ
ヴィトゲンシュタイン難しかった。でも、会社で「〜に係る○○」とか「掲題の件につきまして〜」とかいう言い回しを使ったり、理解してないのに賃貸借契約がどうのこうのメールしてると、あぁ言語ゲームしてるのかなぁと思ったりする。でも、ヴィトゲンシュタインは言葉では真理をあらわすことはできないと考えていたらしいので、彼の哲学を言葉で記述しようとすればするほど、彼が本当に考えていたことからは遠のいていくんでしょうね。
2018/09/05
禿童子
数か月前にヴィトゲンシュタインの『哲学探究』にチャレンジして挫折した「言語ゲーム」が何を意味しているのかを噛み砕いて説明している。非常にやさしい語り口調で書かれているのでよくわかると言いたいところだが、繰り返し読んでも言っている内容をつかめたという実感がない。橋爪さんは、本居宣長の国学など、いろんなことが言語ゲームで説明できると、言語ゲームの素晴らしさを説いている。たぶん、本書は、『言語ゲームと社会理論』(1985年)という橋爪さんの主著の簡略版だろう。では、その本を読んでみないといけないのかしら(笑)
2019/09/03
ヒダン
ヴィトゲンシュタインの哲学が面白いのは、世界の真理を探る哲学でありながら、私の実感との闘いの末に練り上げられたものだからだろう。自分でも慣れないシチュエーションで普通の振る舞い方だと思われる振る舞いをやってみて、まるで死神の千葉のようだと思うこともある。これって言語ゲーム的だし、そのときのちぐはぐ感はクワス算みたいなもんなんだろう。著者の書きたいことを書きすぎているようにも感じるが、前向きなメッセージで締まるいい読み物だった。
2018/07/03
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