関係する女 所有する男 (講談社現代新書 2008)
関係する女 所有する男 (講談社現代新書 2008) / 感想・レビュー
どんぐり
男と女の最大の違いは、「所有」と「関係」の違いである。所有を追求する男と、関係を欲する女。これが斎藤環の基本的主張である。男は必要とあれば1ドルの品物に2ドルでも払う。女はたとえ必要でなくても、セール中なら2ドルの品物を1ドルで買う。女は結婚するまで、未来について思い悩んでいる。男は結婚するまで、未来を思いわずらうことはない。成功した男とは、妻が浪費する以上に多く稼ぐ男のこと。成功した女とは、そんな男をゲットした女のこと。こんなところになんとなく思い当たる点があったら、この本を読んでみるといい。
2015/07/19
harass
男女の性差について。安易な性差本の嘘や学術的な間違い、女は○○だからXXが得意でうんぬん、おかしなところを指摘していく。途中から著者の臨床医の患者との経験からやフロイトラカン精神分析をからめて男女間の違いを指摘していくが、精神分析の部分は知識が無いと完全に理解は難しいと思われる。自分は少しはあるので納得がいったのだが、ほかの人のレビュをみるとそこあたりを指摘する人が多く、精神分析についていろいろ考えてしまった。ラカンの『女性は存在しない』の言葉がよくわかった。知的好奇心をくすぐる良い読み物。おすすめ。
2017/02/28
Y
男女の違いをジェンダーを通して探っていく本書は、男には所有の原理が、女には関係の原理が働いていると主張している。その主張を裏付けるために色んなものが引き合いに出されていたが、特にオタクについての考察が面白かった。十全には理解できなかったけれど、部分的には興味深く読めた。ジェンダーってやはり難しい。
2014/03/23
ヤギ郎
男女の違いには生来的なものが少なく(ほとんどないといっていい。)社会的文化的な影響により形成される。「関係する女」「所有する男」と科学に基づき簡単に表現したことに価値があろう。ただ、ここに当てはまらない者も考えなければならない。筆者は本文中にセクシュアル・マイノリティを検討する難しさを表している。(今後に期待したい。)文学やアニメは直に「男」や「女」を表現する。その表現の分析、そして表現を消費する私たちの分析には有効な一冊となろう。筆者は日本文化を念頭に置いているようだが、外国ではどうなのだろうか。
2019/10/11
rakim
半ばよくある類いの、と思いながら何気なく購入した一冊だったけれど、とても面白く読みました。「たたみかける女、沈黙する男」「否定する女、しまい込む男」「武器にする女、飴にする男」・・・なんて読みながら次々にいろいろ言葉遊びをしてみたり。生物学的には、という但し書きがいるほど多様化したジェンダー論や男女論を自分なりに整理する恰好の本だったように思います。オススメ。
2017/05/08
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