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心のケア――阪神・淡路大震災から東北へ (講談社現代新書 2121)

心のケア――阪神・淡路大震災から東北へ (講談社現代新書 2121)

心のケア――阪神・淡路大震災から東北へ (講談社現代新書 2121)

作家
加藤寛
最相葉月
出版社
講談社
発売日
2011-09-16
ISBN
9784062881210
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心のケア――阪神・淡路大震災から東北へ (講談社現代新書 2121) / 感想・レビュー

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ささのは

神戸と東日本の震災で心のケア活動をされてきた精神科医の話を、ノンフィクションライターがまとめた本。壮絶な体験をされた方々にどう接したらいいのか。「これ以上、その人を傷つけないように」という言葉が印象に残った。善意からの自分の体験談も、簡単な相槌さえも被災者の孤独や哀しみを深めてしまう事がある。本当のところ、その人の気持ちはわからないという所から始める、という一文は人間関係全てにいえると感じた。支援する側の心のケアも重要課題で、人を支えるにはまず自分を労わるという話に納得した。

2016/02/21

太田青磁

先祖代々守り続けた土地を失う喪失感は、都市の人間のそれとは大きく違います・津波は本当に残酷な災害で、死ぬか生き残るかしかなかった・引っ越しは人間にとって大きなストレス要因・話すこと自体のエネルギーとリスクを引き受けてくれたことに対して敬意を表す・調査するなら、ちゃんとそこで仕事をやって地域に貢献しないといけない・深い絶望と自責の念をもったままびくともしない悲嘆に支配されている人たちの姿は、決して報道されない・地域の風土や文化、人々の気質、美徳とされていることを理解する・ほんと、みごとに、なにもいわない

2014/07/25

ぐうぐう

阪神・淡路大震災で被災者が抱える心の傷の治療を行い、東日本大震災においても陣頭指揮を取った加藤寛氏に、心のケアとは何かを知るために最相葉月がインタビューする新書。心のケアが被災者からは敬遠されること、被災地では心理の専門家よりも看護師が役立つこと、そして心的外傷から立ち直るには、何よりも生活再建を先に優先させなければならないことなど、現地のシビアな状況が語られている。被災者だけではなく、ボランティアや支援者、消防や医療関係者の心のケアにまで話は広がる。しかしそれらは、すべて繋がっているのだ。(つづく)

2011/10/11

みねたか@

阪神淡路大震災,東日本大震災における精神科医,看護士などの支援チームの活動を踏まえ,被災地で活動する人やこれから支援に向かう人に向けた書。支援の基本的な態度としてまず、それ以上被災者を傷つけないこと。自分が追体験できるわけではないし100%は共感できないことを意識することが大切。加えて、自分で自分の身を守る健康管理が重要。支援者が受ける影響を回りが特に上司が理解して,部下を休ませちゃんと労をねぎらうことの大切さ。現在も九州北部豪雨で被災しあるいは支援に当たる方々がいる中,自身の拠り所を確認できた。

2017/07/18

白義

災害時の心のケア、というと災害が起きたらすっ飛んでいっていちいちカウンセリングするようなことをイメージするが実際の心のケアとはそういうものではない。被災者の生活再建、その自立の手伝いをするもっと地味で繊細でしかし困難な仕事だ。あくまで被災者を傷付けないように全身をセンサーにし言葉に気を遣う、PTSDというのは大半が自然に治っていくのであくまでそれを早く治すための手伝いをする、という意識でいい。そして意外でもないことだが市職員など支援者側のケアがとても大切なのだという。いかに支援をするかのヒントに満ちた一冊

2016/11/15

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