フランス文学と愛 (講談社現代新書 2228)
フランス文学と愛 (講談社現代新書 2228) / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
フランス文学で語られる「愛」【アムール】を文化や時代ごとの変遷を軸に語る書評。今まで読んだフランス文学が登場してきて思わず、頬が緩みます^^そして興味のあるフランス文学も増えまして嬉しい誤算です。
2013/12/07
Miyoshi Hirotaka
名作は愛の教育システム。恋愛がフランス文学の最重要課題になったのは17世紀。一方、この恋愛観はロシア文学経由と直通の2系統でわが国に流入。トルストイ、ドフトエフスキーなどの大作家はフランス語に精通、フランス流の恋愛観を受容していた。歴史の偶然で、これらは明治期に同時にわが国に流入。西洋文明を受容していたわが国の文壇は大混乱。同じキリスト教を共有しながらも違う上に、いずれもわが国の伝統的な恋愛観とは相容れぬものだったからだ。数々の作家が悩んだ末にわが国は純愛路線を選択。以来、今日に至るまでこの延長にある。
2017/06/05
harass
愛をテーマにしたフランス文学史。社会構造の変化に反映、先取りされるフランス文学で語られる愛のさまざま。17世紀の華々しいサロン文化で語られる恋の鞘当てから、巨匠時代、戦後のボーヴォアールなどの放縦な女流作家たちとウェルベックまで。各作品の意味合いと読みどころと小説の技工などに触れる。やはり経済的に文化的に華やかでないと文学(愛・アモール)は発達しないのかと考える。現代フランスの話での結婚恋愛についての違和感の根幹が分かった。紹介される作品が読みたくなる良書。図書館から借りた本であらためて購入したいと思った
2014/09/22
ラウリスタ~
18世紀的色好みの道(ギャラントリー、結婚と無関係の恋愛)と19世紀のブルジョワ的恋愛(神聖な結婚、家庭を壊してはならない)の対立が面白い。19世紀人はエロチックな前世紀をノスタルジックに語る。少女時代は「牢獄(修道院、寄宿学校)」に閉じ込め、結婚するやいなや夫によって強姦(全くの無知だから)され、その後(当然不倫として)恋愛を開始するという一般ルート。未婚女性に求める貞操を、既婚女性には求めない。ルソー、バルザックの修道院教育批判は、それへの反対。バルザックはサンドに食傷して、自由恋愛から伝統派に戻る。
2020/12/23
belle
愛の名のもとに辿りなおしたフランス文学史。17世紀から現代に至る。海外文学では特にフランスの小説が好きだが、野崎先生のこのような本を読むとますます魅力的だ。
2018/03/05
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