ユーミンの罪 (講談社現代新書 2233)
ユーミンの罪 (講談社現代新書 2233) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
タイトルは、やや煽情的に「罪」としているが、「功罪」が公平なところ。結論的には「女が内包するドロドロしたものを全て肯定し、キラキラに変換してくれた」ユーミンが著者、酒井たちをして「走り続けていられるに違いない」という幻想を植え付けたことを「罪」と断罪する。ユーミンのファーストアルバム「ひこうき雲」(1973年)から、"DAWN PURPLE"(1991年)までを編年体で綴り、常に時代の一歩先を行くユーミンと、それを夢中で追った私(酒井)たちの軌跡を実に鮮やかに描いて見せる。酒井の手腕はなかなかに鮮やかだ。
2015/11/08
あすなろ
バブルの頃、ユーミンのアルバムの発売は1つのイベントだった…。これを知ってる若者はどのぐらいいるのだろうか?僕個人は、ユーミンファンでなく、どちらかというと好きな方の部類にも入らないかも。でも、酒井さんの著書であり、上記のような熱気ある時代に生きた者として、興味本位で読了。助手席ソング・軍歌・湿気のなさ・瞬間を歌に・額縁ソング等流石の切り口の酒井さん言葉が並んで行く。ナルホドなあと思いました。そして、いつも酒井さんの著書を読むと思いますが、結構音楽に含蓄ある酒井さんの例えば中島みゆき論とか読みたいです。
2018/02/18
hide
★★★★★個人的には、松任谷正隆氏と結婚してからの楽曲の変化を顕微鏡のようにクローズアップしたら間違いなく、知られざるユーミンの楽曲の変化のメカニズムがわかって驚愕することは間違いないと思う。そもそも、松任谷正隆氏は、かなりのカーマニア、オーディオマニアなので、車で聴くラブソングのメカニズムは曲中にさり気なく埋め込まれているはずです。初期の楽曲は、別にしても、むしろ松任谷正隆氏のバックボーンがあってユーミンが成り立っているのだと思う。失礼ながら歌声だけを捉えると、超下手としか言いようのないレベルだし。
2020/07/18
あつひめ
はい、私もユーミンに救われた者の一人です。いつからかなぁ。人を好きになるレベルではなく、人を愛することで辛さや喜びを味わった頃から、ユーミンに励まされ慰められ…そして、応援された。いつの頃からかユーミンにすくいを求めることはなくなったけど、曲を聴けば、あの頃に戻れる。タイムマシーンのようだ。時代を先取りするような歌詞が日本の女性を励ましたんだと思う。と、私は、思うわ(笑)
2015/03/23
yumiko
ユーミンのデビューからバブル期までの作品を通して、彼女の軌跡とその世の中に与えた影響を探る一冊。私がリアルタイムで聴き始めたのは「NO SIDE」から。熱心なファンではなかったけれど、当時ユーミンの新作には季節の風物詩的感覚があったなあと思い出す。それにしてもユーミンの歌を辿ることで、時代の流れや女性の生き方の変化がこれほどまでに見えてくるとは驚き。それもきっと長い間一線で活躍してきたからこそだろうなあ。酒井さんの切り口も面白く、「誰の彼女かで決まるヒエラルキー」なんて思わず苦笑いしてしまう(^^;;
2016/01/16
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