闘うための哲学書 (講談社現代新書 2290)
闘うための哲学書 (講談社現代新書 2290) / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
さらっと読める哲学概論。入門としてはいしいひさいち氏の『現代思想の遭難者達』同様に手っ取り早いと思います。もっと深く、哲学について学びたい人には物足りないかもしれませんので、そういう人は岩波文庫や光文社新古典文庫から繙けばいいでしょう。小川氏が浅く、哲学の概要と良い所を紹介する中、萱野氏が「当時は通じていたけど現在に当て嵌めるとどうなるか」ということを提示しています。特にアイヒマン誘拐しなければ裁きは受けられなかったことを是とするアンナ・ハーレントにも「陳腐な悪」はあったという指摘は興味深かったです。
2015/01/23
masabi
22の古典哲学書を題材に小川氏と萱野氏が対談したものをまとめた一冊。小川氏は理想主義、萱野氏が現実主義の立場になっているので、両者の相違点も明らかになる。それに、小川氏が哲学書の理論から離れた理想を語ると、それを萱野氏が理論的にあり得ないことを指摘する場面が多々あった。両者はともに哲学の実践を重視しているが、萱野氏は現実の分析に重きを置いている印象を受けた。構造主義をもっと深めたい。目的に沿った平等。
2016/04/06
はる坊
今まで出版された哲学書はどういうことが述べられているのか、22冊の哲学書から、2人が対談しながらその内容に触れ、時には異なる意見をぶつけあいながら、哲学を学ぶ意義について迫った本。同じ哲学者でありながら、全然考えが違っており、なかなか熱がこもった言い合いをしてるところもあった。本書をガイドにして、マックス・ウェーバーや、フーコー、ハイデガーの著作も読んでみたいと思う。
2015/11/02
taro335
理想論ばかり言う小川さんに萱野さんが熱くツッコミを入れる、それが微笑ましくも楽しい一冊!(個人的に、だいたいは萱野さんんの意見に説得力を感じましたな…)
2014/12/21
さえきかずひこ
二人の"哲学者"が22冊の古典的哲学書について、対照的な立場から論じ合う一冊。肩肘張らず読みやすい。性善説を信奉する小川と性悪説にもとづく萱野が二人とも、自身がヘーゲル主義者であると名乗り出す、9冊目の『法の哲学』を扱った部分は思わず笑ってしまった。基本的には小川の高みを目指す朗らかな調子を、機知に富んだ萱野が諌めたり論駁していく調子で進むので、論じられる書物のテーマについて、弁証法的な視点が取れるようになる。最後の和辻哲郎『風土』でヘーゲルの歴史哲学に触れて対論を締めるのも印象的で構成の巧みさを感じた。
2018/06/14
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