ゴーストバスターズ 冒険小説 (講談社文芸文庫 たN 4)
ゴーストバスターズ 冒険小説 (講談社文芸文庫 たN 4) / 感想・レビュー
優希
面白かったです。時空も夢も現も超えて疾走する強烈さ。松尾芭蕉とランボーが邂逅し、ペンギン村が陥落し、ゴーストが何者かも分からないという一見すると支離滅裂さがありますが、小説とは何であるかということにただひたすら向き合っている意志と覚悟が伺えました。ギャグのセンスがどう捉えられようと構わない、語らねばならない、その熱さが読み終えたときに哀愁として感じます。「小説」という名の冒険小説を読んでいるような感覚にすらなりますね。結局最後まで分からないことが正解のような気すらします。貴重な読書体験でした。
2016/11/18
佐島楓
基本的に「よくわからない」のだが、ところどころで顔を出す高橋源一郎らしいリリカルさにどきっとする。読了後、なんだか長大な一篇の散文詩を読んでいたような気持ちになった。
2019/07/11
ちぇけら
ぼくは惑星の回りを飛ぶ衛星になった気分だ。ゲンイチローさんの小説を読むとこういう気分になる。ゴーストがなにか、明確には語られない。ぼくらはその回りを、ただうろうろとするばかりなのだ。ペンギン村も登場してノスタルジーに浸ることもできる。
2018/04/03
はりぎゅら
時空を超えて駆け巡る冒険小説。松尾芭蕉とランボーの邂逅。ペンギン村の凋落。「ゴースト」が何者かも分からずに読み進め、気づけば全編を貫く何とも言えない哀愁にノックアウトされていた。濃密な文学体験だった。
2014/05/31
esehara shigeo
「最初書いているうちにだんだん書けなくなって七年かかった」とか「アメリカを翻訳しようとして出来なかった」という感じで、高橋源一郎はたびたびこの小説を「咽に刺さった魚の小骨」のように語ってる。一読すると、何処か六十年代や七十年代のヒッピーカルチャーの語りの構造(カルロス・カスタネダとかそういう感じ)と似ていて、その辺りが、たぶん本書自体が「ゴーストバスターズ」であり、ここで書かれた「ゴースト」を捉えそこねている、みたいなところがある印象を受けた。面白い、しかし何かが足りない。
2019/07/08
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