常識的文学論 (講談社文芸文庫 おC 12)
常識的文学論 (講談社文芸文庫 おC 12) / 感想・レビュー
無識者
そういえば高校時代の現国の先生が大岡ファンだったなぁ~なんて思いながらつい買ってしまった。井上清氏の「蒼き狼」のなかで、「蒼き狼」というイデオロギー作成のために資料の強引な解釈、事実からの飛躍といったものに対する批判が考えさせられた。この批評を読んでいるときは別にいいんじゃない?と思ってもみたのだけれども、あとになって、最近の歴史小説をイメージしながら考えてみると、たしかに歴史を歪めてある種の英雄伝みたいなのが出てくると、危険かなぁ?と思ったりもしました。
2016/09/20
miunac
時代背景に注釈が必要。松本清張らの推理小説、山本周五郎らの時代・歴史小説、今は存在しない中間小説、更にドキュメンタリーやノンフィクションが持て囃されていた。平野謙の文学変質論等があり、その中で文学者としての大岡昇平が奮闘してるということが最低限の知識として必要。大岡壮年時の時評だが、後に大岡は推理小説も歴史小説も戦記も雑な風俗小説も書く。それらを後に読む我々はある種の窮屈さを感じるのだが、それは大岡昇平の文学観(それは大岡に近い小林秀雄・河上徹太郎・中村光夫・吉田健一らとも違う)に規定されていたのだ。
2021/02/02
悸村成一
版違いだが、再読。1961年の時評。対象は娯楽小説、ミステリー、中間小説など。暑気払い執筆かも知れない「推理小説論」が興味深かった。図書館本。
2013/09/24
笠井康平
懐が深ーい。
2011/02/13
Kaname Funakoshi
井上靖『蒼き狼』を読んだのは、この本を読む下準備だった。1961年の文芸評論。矛先は主に新聞の文芸欄の書評家たちなのだけど、最初の獲物が井上靖だった。『蒼き狼』が歴史小説かどうか(矛先は井上靖)と、叙事詩的と讃えられているが本当に叙事詩的か(矛先は書評家)がポイント。井上靖としては歴史小説だろうか伝奇小説だろうと気にしないだろうし、ずいぶん迷惑なケチの付け方をするなあ、というのが今読んでの感想。
2020/08/02
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