書物の解体学 (講談社文芸文庫 よB 6)
書物の解体学 (講談社文芸文庫 よB 6) / 感想・レビュー
しゅん
論旨は取れていない。9人の20世紀ヨーロッパに生きる作家に対する論がどれほど関連しているのかも定かではない。ただ、バタイユから〈家族〉と〈近親相姦〉の問題のみを抽出し、日本の雑誌に載った近親姦の実例を延々と引用する、その断りなしの身勝手さに魅惑を覚える。「いっていい」「考えてもいい」の連鎖は、ある所の優しさとして受け取れないわけでもない。退屈でちょっとずつ読んだら余計にわからなくなった感がある。ヘルダーリンのところは面白かった気がする。
2022/06/13
CCC
作者の気持ちを考えたらその先に行き過ぎた感。評論も一種の二次創作だと意識させられる内容だった。ただ話の妥当性はさておきジャン・ジュネの本は読みたくなったから、作家へのフックとしては悪くなかったのかも。
2023/12/16
amanon
理解の程は甚だ怪しいが、かなり難解な書であるのにもかかわらず、その独特の語り口に惹かれ、半ば貪るようにして読んでいた。特に自分と意見を異にする人達をとんま呼ばわりするところなど、独特の小気味よさや痛快さが感じられ、かつての吉本信奉者はこういうところに惹かれたのではないか?と想像させられた。ただ、ここで吉本が述べていることがどれだけ正当性を持つのか?というのはかなり眉唾。著者自らここで述べていることについて、学問的な裏付けがないことを認めている。こういうある種の危うさも吉本の魅力かも知れないが…
2013/01/07
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