第三の新人名作選 (講談社文芸文庫 こJ 24)
第三の新人名作選 (講談社文芸文庫 こJ 24) / 感想・レビュー
佐島楓
第三の新人とは、終戦後に出現した作家グループのこと。戦争を嫌というほど知っている世代だけあって、その文学的リアリズムには圧倒される。確かなのは、読み継がれねばいけない文学である、ということともう我々の世代では書けぬ世界を知っていた作家である、ということだろう。まさにこれこそ戦争、及び戦後文学である。
2011/09/09
とろこ
安岡章太郎さんの訃報を聞いて。当たり前ですが、昨日この本を手に取ったのは全くの偶然。 まっさきに安岡さんの「ガラスの靴」を読了しました。説明が少なく、人物の心理描写が丁寧になされていて「文学っていいなあ」と思える作品。 こういう身の詰まった作品が減ってしまっている気がして悲しい。 おしゃれなイタリアンやカフェごはんもいいけど、やっぱり梅干し入りのおにぎりに勝るものはないと思うのです。 残りの作品もゆっくり味わいます。
2013/01/30
かみしの
基本的にベストアルバムってのは、なんかずるい気がして好きではないけれど、たまに“ベストアルバム”としての完成度が尋常じゃないものが登場したりする。本作がそれである。第三の新人の豊饒さが、一つ一つの引き締まった短編から匂い立つ。コメント欄を使って全ての短編をレビューしたい衝動に駆られる。例えば遠藤周作におけるキリスト教だとか、島尾敏雄における戦争だとか、吉行淳之介における娼婦だとか、個々の作家を構成するファクターがそれぞれ散見され、集全体としては、どうしようもない日本人的な意識が見え隠れする。
2013/07/30
きつね
第三の新人といえば村上春樹が『若い読者のための小説案内』で取り上げているが、実際のところ地味だと思われがちな作家たちであるけれども、日常を視る目が異境を視るごとくであったり、プロットの高まりと性欲の高まりがずれて作動していたりなどという辺りがおもしろい所ではないだろうか。あるいは、Novelの伝統がない日本人が小説を作り上げるために外国語の文物を鏤めたり(鴎外)、古典に題材を求めたり(芥川)と悪戦苦闘してきたけれども、「アデンまで」は「舞姫」が描かなかった東洋人が踊ることの屈辱を、「冥府山水図」は「秋山図
2013/11/12
shizuka
庄野潤三・小沼丹が好きで、自ずと「第三の新人」という言葉が目につくようになった。自分たちの内側、日常的なごく微小なものが作品の本質となる「第三の新人」たち。どれも印象的な作品で得した気分。
2019/09/05
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