鷹 (講談社文芸文庫 いA 14 スタンダード)
鷹 (講談社文芸文庫 いA 14 スタンダード) / 感想・レビュー
月
★★★☆☆(初めて石川淳を読む。鷹、珊瑚、鳴神の3篇収録。現在を支配する秩序(今日)に対する挑戦。革命小説とも呼べるがこれらはあくまで過程(変化への行動)であり結果ではない。「現実の秩序の中に閉じ込められるのを拒み、制度の強制に縛られるのを嫌い、絶対的な自由に向かってエネルギーを発動させる・・(解説より)」。テーマは明日である。明日へのエネルギー、70年代の石川再ブームも分かるような気がする。作家自身に置き換えると当時の小説(文壇)や己に対する挑戦か・・。そこには忘れてはならない明日が隠されている。)
2012/09/12
れぽれろ
50年代初頭の石川淳の短編集。「焼跡のイエス」の後の歴史をなぞるような作品群で、いずれの作品も逆コース・レッドパージ・単独講和直後の日本の世相が反映されており、労働者階級の革命的な闘争の在り様が石川淳なりの幻想性を以て描かれています。表題作「鷹」においても「鳴神」においても主人公は意識しないままに階級的闘争に巻き込まれていきますが、体制に翻弄されながらも何らかの希望的なものを見出す終わり方が印象的。一方で「珊瑚」の方では革命を成就させた運動家がもたらした流血に対する批判的な視線がみられるのも興味深いです。
2015/12/28
チューリップ
初めて読む石川淳。短編3本。読みやすいけど内容がよく分からなくて解説読んでなんとなく理解出来たみたいな感じだ。いつかまた再挑戦してみたい。政治的な要素があるんだけど異世界のような不思議な世界観を感じた。今だったら使えない言葉が出てきてたのがなんか印象に残ったな。
2021/06/25
悸村成一
3編-「鷹」「珊瑚」「鳴神」。カフカばりかどうかは不定。「自由な精神の運動」?。図書館本。 105
2019/08/06
kino
やっぱり独特だなぁと思いながら読みました。ざわざわするような幻想的というか不思議な短編3つ。いずれも対秩序なのが印象的。戦後って、そういう時代だったのだろうか。 あまり考えても仕方ないような気がします。フィーリングで入り込んで楽しむ?楽しむのか?わかりませんが、妖しげな雰囲気に酔う小説。夏至の頃の黄昏なんかにちょうどいいかもしれませんね。あの訳わからなさにいかに同化できるかがカギだと思う。読み終わったらちゃんと正気で帰ってきてくださいね。
2018/06/08
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