早稲田作家処女作集 (講談社文芸文庫 わE 1)
早稲田作家処女作集 (講談社文芸文庫 わE 1) / 感想・レビュー
あにこ
もの珍しさに惹かれつい買ってしまった。文学史に名を連ねる諸氏といえども、各々の処女作はやはり未成熟に思える。さすがにこれで1600円は痛い。収録作中では、横光利一『御身』が一番面白い。尾崎一雄、八木義徳もなかなか。丹羽文雄は案外つまらない作家だった。
2013/04/28
ウイロウ
早大出身・中退作家の処女作を集めた(底本から三分の二の作品を抜き出した)アンソロジー。底本の成立事情については解説に詳しいが、素人目には早大つながり(「早稲田文学」掲載作品に限定されているわけでもない)以外あまり共通項がないような……。その分、バラエティに富んだ作品が並ぶ。本書所収の十四篇中、最も有名なのは井伏鱒二「山椒魚」だろう。横光利一「御身」は心理分析に「らしさ」も窺えるものの、幼い姪への愛情を軸とした意外とハートウォーミングな話。亡き妹を偲ぶ尾崎一雄「早春の蜜蜂」が、内容・文体ともに好みだった。
2012/09/15
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