死の島 上 (講談社文芸文庫 ふC 6)
死の島 上 (講談社文芸文庫 ふC 6) / 感想・レビュー
長谷川透
複数の人物の視点だけではなく、彼らの内部や小説内小説などの短い断片が無秩序に散りばめられた風変りな小説だ。登場人物の一人は画家であり、この小説の題名も有名な絵画の題名と同じであるため、絵画に関する描写は非常に多いが、細々しく書かれていないためか、個々の断章の視覚的イメージを喚起させる力は弱い。ところが短い断章が繋がる時に、不意に視覚が刺激させる希有な体験があった。我々は目にするヒロシマをテーマにした映像が人々の死の刹那を繋いで構成することが多い。僕の映像的な記憶がこの小説に相似の影を見出したのだと思う。
2013/09/07
sabosashi
この作品へ近づくべく、シベリウスを聴く。 初めて聴いたのは渋谷公会堂にてでヴァイオリン協奏曲だったと覚えている。 この作品はちょうど半世紀前のもの、あの頃はただ暗ければ意味がある、と思われていた時代ではなかっただろうか。 冒頭から重苦しいイメージが支配し、てっきり戦後派がここまでつづいているのかと思ったほどだった。 しかしストーリーは巧みに織られていく、といっても、正直いうと、不器用に、と言い直したほうがいいのではないかと思えてくるが。
2021/06/26
沙織
紹介本。正反対の気質を持つ二人の女性の間で揺れる一人の男性。安心感を求める反面どこか危険な異性に惹かれてしまうのは男性も女性も同じなのでしょうか?下巻に続きます。
2019/02/02
風に吹かれて
『文藝』に昭和41年~46年の6年間、断続的に連載された作品。HIROSIMAへの原爆投下。人間の頭上から核爆弾を投下するということ自体も人間としての魂の問題として見据えていかなければならないと思うが、本作は、それを経験し生き延びた人間を中心に置きながら、人が人を理解することの厳しさを多様な表現を駆使しながら表現し尽そうとした大きな作品だと感じている。下巻へ。
2018/08/07
えふ
これぞ文学といった作品。テーマが重すぎて重すぎて。終戦直後の「原爆」についてかかれているわけだが、今だからこそ考えることが多すぎる。下巻読めるだろうか・・・。
2017/05/02
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