昭和戦前傑作落語選集 (講談社文芸文庫 こJ 26)
昭和戦前傑作落語選集 (講談社文芸文庫 こJ 26) / 感想・レビュー
姉勤
一口に古典落語といっても、価値観が違いすぎて今の世界では出来ない噺、また、逆に今も演られている噺(お神酒徳利など)でも固有名詞やクスグリの部分に現代では通じにくい下りもある。その生き残った古典でも時代時代にレビジョン・アップしていると改めて知る。意外なのが多分にミリタリーな表現が自然に噺に馴染んでいる事。そこに悲壮感や窮屈さが無い。そんなものがあったら落語に成らないとしたら、戦争が日本では当たり前な世界があったという事か。
2013/04/23
6だ
昭和初期の落語速記(キング9話、講談倶楽部6話、富士5話)、元は6巻150席以上から各噺家の代表的落語を20席に絞り文庫化されたもの、収録は元と同様年次順。 「昭和戦前」なので軍国色の強い部分は仕方ないが、例えば昭和14年以降の4席中3席特にその傾向が顕著なのに、残る一席、五代目志ん生だけが世事を匂わせないのはさすがというからしいというか。 個人的にお気に入りは五代目圓生(表記は円生)「寄合酒」、粗筋も今のとは若干異なるが「ん回し」付きの本寸法。志ん馬時代の志ん生「悋気の見本」も是非聴いてみたかった一席。
2013/11/24
やまほら
当代権太楼師匠の解説に惹かれて買ったようなものですが、戦前の雰囲気あふれる速記を楽しめました。当時の最新を取りこんだと思われるくすぐりが今でも使われていたり、今よりも噺の骨格だけで聴かせていたと思われるものが多いことがよくわかります。底本は全6巻だということなので、続刊にも期待します。
2013/05/31
qoop
収録作は新作・改作が中心で、当時の世相を反映していて面白い。が、いちばん興味を惹かれたのは、噺自体は古びても良く出来たくすぐりは他の噺(や元のネタ)の中で今も活きているんだな…と云うこと。噺と云う単位ではなく、ギャグと云う単位で落語を見直してみたくなる。
2013/04/06
待つ子
結構「あれっ、この噺ってこの時代の新作だったんだ?」というものも。二八稲荷は良くできた話だなぁ。個人的には源平盛衰記がやたら面白かったです。
2013/08/17
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