柄谷行人インタヴューズ2002-2013 (講談社文芸文庫 かB 15)
柄谷行人インタヴューズ2002-2013 (講談社文芸文庫 かB 15) / 感想・レビュー
amanon
本書で幾度となく言及されているアソシエーションと憲法9条の可能性について、改めて考えさせられる。確かに多くの人はこれを荒唐無稽として一笑にふすだろう。しかし、いみじくも柄谷が述べているとおり、理念は何某かの形で回帰してくるし、そこを信じるところしか何も変わらないのではないか?という気にもさせられる。本書に収められたインタビューの期間の間に、信じられないくらいに時代の趨勢は大きく変わり、それまで常識だったことがいつのまにかまかり通らなくなっている。そうした時代の趨勢を見つめる視点を提供してくれる一冊。
2016/02/16
OjohmbonX
フロイトの「抑圧されたものの回帰」がどんな力で起こるのかようやく腑に落ちた気がした。あるシステムが別のシステムに抑圧されて移行する。その後生じるシステムへの異議申し立て=批評が抑圧されたものを回帰させる力になる。異議申し立てをする当人が意識的だろうとなかろうと、現行システムへの批評なのだから自然にそうなる。但し抑圧を解消させる以上かつてのシステムその物ではない=高次の回復になる。普遍宗教は現行システムへの異議として発生するから、互酬性が資本主義の後で回復される際には普遍宗教の形で出てくるだろう、って感じ。
2015/09/03
fseigojp
世界史の構造の後は、哲学の起源、そして中国の諸子百家がターゲットだとのこと、小林秀雄が晩年に本居宣長をやったような筋を感じる
2014/03/28
yoyogi kazuo
21世紀に入ってからのインタビュー発言は理論的であると同時に政治的で、かつ分かりやすい。交換様式論は妥当性はともかく主張には一貫性がある。「岩波文化人イデオローグ」としての役割は立派に果たしたと言えるのではないか。
2024/05/30
ピラックマ
前巻の1977―2001に比べるとやはり時代が近い分切迫感があって引き込まれる話しばかり。このインタビュー時点では盛り上がっていた3.11以降のデモも今やすっかり消えいりそうで、あらためて資本の抵抗の凄まじさを感じる。残念ながら柄谷氏の予見どおり徐々に戦争も拡大していきそうな情勢だし…嗚呼
2014/03/26
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