現代小説クロニクル 1975~1979 (講談社文芸文庫 にC 1)
現代小説クロニクル 1975~1979 (講談社文芸文庫 にC 1) / 感想・レビュー
ぽち
アンソロジーという形式は未知との出会いはもちろんたまさかな化学反応も読者の中で起こって魅了がある。田中小実昌「ポロポロ」に続いて収められている開高健「玉、砕ける」はわたしにはポストモダンや南米文学や散文詩のようだった、本書の掉尾を飾るのは筒井康隆1978年の「遠い座敷」。筒井康隆と保坂和志がいかに現代文学に影響を与えてきたか。自分には合わない文章と思っていた中上健次も緊張感を持って読み終えられた。「岬」。開高健すらわたしは未読の作家なのだった。
2023/11/15
OHNO Hiroshi
ゆっくり読んでいると、随分と酷いことを書いてるなと思った「幸福」富岡多惠子。 「僕って何」三田誠広、今、読み返してみると、やはりいい。あっけらかんとしていて、力強い。しかし、この中の一番は、「岬」中上検事でしょう。血、生臭いね。
2016/06/19
Sosseki
「岬」土方とか聞かなくなったなぁ。連れ子とか、再婚とか、婚外子とかまだ多かった時代。「幸福」見合い結婚が普通で、まだ「レンアイ」が珍しい時代、「僕って何」学生運動真っ盛りの頃のアイデンティティーを探す田舎から上京してきた真面目な大学生、昭和版「三四郎」のような、日本版「ライ麦畑」のような。携帯どころか、電話もほとんど出てこない!
2023/01/27
とみぃ
家族(血族)という関係性というか、もう少し場所に根ざした言い方として家といった方が良いか、ま、そんなものが陰に陽に取り上げられている作品が多かったな、という印象。その二つをあわせて、一つの作品世界にまとめあげたのが、中上健次「岬」(1975)なのかな。一家団欒の奥の奥にひそむ闇というべきか、そんな冥府めぐりを息苦しく描いた筒井康隆「遠い座敷」(1978)。家とか家族とかいったくびき、あるいはそれらが持ち合わせている暗い部分、そして、その鎖を解かれたものの被傷性、なんかそんなこと、いろいろ思った。
2016/05/22
いのふみ
軽みのあるものも深刻なものも、この時期の文学はどっしり肚にくるな。
2015/06/17
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