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その言葉を/暴力の舟/三つ目の鯰 (講談社文芸文庫 おV 2)

その言葉を/暴力の舟/三つ目の鯰 (講談社文芸文庫 おV 2)

その言葉を/暴力の舟/三つ目の鯰 (講談社文芸文庫 おV 2)

作家
奥泉光
出版社
講談社
発売日
2014-12-11
ISBN
9784062902519
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その言葉を/暴力の舟/三つ目の鯰 (講談社文芸文庫 おV 2) / 感想・レビュー

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ヨコツ

収録三編とも子供が大人になるためのイニシエーションが描かれており、それぞれに印象的な人物を主役に据え、その人物に縁のある若者が語り手を務めるというスタンダードな私小説である。悪く言えばよく見かける形式の小説であるにも関わらず、読後確かな手応えと余韻が感じられる。それは奥泉光の小説家としての技術の確かさと、語られる言葉の力強さ、そしてその言葉を通して迸り出ようとする形をもたない意思の奔流によるものではなかろうか。個人的には現代の作家でもっとも信頼できる筆力を持つと思っている奥泉光、相変わらずハズレが無い。

2015/03/10

みっちゃんondrums

書店で他の文庫本とともに購入時、レジの合計金額に「ん?」、レシートを見て「え?」、表紙の金額を二度見して「高っ!」。文庫本なのに1750円+税! たぶんあまり売れはしないだろう、しかし奥泉光ファンならば手を出すに違いないという目論見か。確かに十分その価値あり。センセエの芥川賞受賞前の、未読だった作品たちだもの。すでに完成されていた諧謔にあふれた長~い説明過多の、しかし絶対にそれでなければならない言葉を散りばめた文、センセエを思わせる70年代の大学生の主人公、まじめ過ぎて可笑しい人物たち、奥泉節を堪能した。

2016/03/30

gu

一周回って敢えて言葉の力を愚直に信じてみる。それが苛立ちや嘲笑を引き起こしつつそれさえ突き抜けると奇蹟が起きる。奥泉光に若書きの瑞々しさや荒々しさは求めていないんだよなーと思っていたのは大きな間違いで、これまで読んだ中では最も好きな作品かもしれない。ガツンときたのは『暴力の舟』。いつまでも浸っていたいのは『三つ目の鯰』。田舎の風景描写が一々素晴らしい。錠念先輩にしても『新・地底旅行』の丙三郎にしても、思わず殴りたくなる人物を描くのがなぜこんなに上手いのか。

2016/06/25

たっこ。

「その言葉を」のモチーフになっているジャズの演奏に似た、うねりまくる文章は気持ち悪くなるほどごてごてで(冠飾句と関係代名詞バリバリな昔のドイツ語読んでるみたいな)、でもそれが癖になる快感なのはワザだろうか。同作の飛楽、「暴力の舟」の錠念先輩の「うまくやっていけない」感じが実にいい。世の中にスムーズに溶け込んだりするのは苦手じゃないけど、それをとても嫌がってる自分が他方にいて、だからか、この話のみんなが、愛おしくて疎ましい。

2015/05/01

Sarah(サラ)

自分に気になるところに付箋をつけながら読んでいるのだけど、付箋だらけで、、、ここに何を書けばいいのかわからない。読んでいて胸が痛くなること何度も。自分と同じ、そんな部分が哀しく切ない。

2018/04/22

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