女性作家が選ぶ太宰治 (講談社文芸文庫 たAK 2)
女性作家が選ぶ太宰治 (講談社文芸文庫 たAK 2) / 感想・レビュー
ケイ
男性作家が選んだ太宰と違うのは、彼女たちが選んだ短編7つが合わさって全体がほのかにピンク色に思えること。私は女性作家の書く話に共感できる場合が少ないのだが、「これは私のはなし」という彼女らの自意識を感じ、その自意識を受け入れられない場合に全く共感できないからだとこの選集を通じて認識した。好きな話を選ぶにも自己の投影を感じるものはやはり苦手。『秋風記』(松浦理恵子選)『思い出』(桐野夏生選) 『母』(川上弘美選)『古典風』(川上未映子選)の順に良かった。特に秋風記の切なさが良かった。不倫は成就はできぬ。
2015/03/18
ゆにこ
角田さんが解説に書いているように、生きにくかった思春期の事を思い出して、私もひーっと叫びたくなった。「女生徒」が一番好きかな。歌留多の最後にはドキリとした。次は男性作家版。こちらも楽しみ。
2016/07/27
めろんラブ
どう転んでも太宰は太宰。凄い。男性作家選とこちらを合わせて14短篇を続けて読み、改めてこの稀有な個性に感じ入る。特に松浦理英子選の「秋風記」では、読中、瞳孔拡大・頻脈・口渇・・・つまりアドレナリンが出まくっている状態に。ああいうことをこういうふうに、そしてそう結ぶとは。読後、素晴らしさにむうと唸りながら、本書の選者である7名の女性作家も、あたかも恋するように太宰作品と向き合ったのではと思ったり。なぜなら、各人の推薦文に憧憬と興奮と情熱が感じ取れたから。選者の太宰に対する惚れ込み具合も含めて楽しめる逸品。
2015/03/21
Y
未読のものに思いがけず面白い作品があった。太宰治はワンフレーズにつきふしぎに光って心に残るものが多い。「恥」はオチも痛烈で面白かった。しんみりと笑いがうまい具合に同居していた。「思い出」は自慰をあんまとしつこく表現する若かりし太宰に笑った。「懶惰の歌留多」はヴィーナスの箇所は深い教訓を与えてくれてふむふむと感じ入った。けれど、書いた本人は軽い気持ちで書いたのかな。少女から遠ざかってしまったけれど、「女生徒」の主人公の人に対する潔癖さ、自分でいることの気まずさと陶酔には今でも狂おしいほど共感を覚える。
2016/09/04
detu
図書館本。特別、太宰が好きなわけでもないのですが、やはり読みたくなるのです。でも特別好きでもないのでなにを読んでよいのか分からないところでこのアンソロ見つけました。何で太宰を読むとこう、自己嫌悪みたいなかんじになるのかなあ・・・一番分かんなかったのは川上弘美選『母』。良くも悪くも太宰は気になる。次は男性作家が選ぶ です。
2015/12/08
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