白鳥評論 (講談社文芸文庫 まC 6)
白鳥評論 (講談社文芸文庫 まC 6) / 感想・レビュー
ジャズクラ本
白鳥の様々な評論から一般文学論と作家論を撰したもの。一般文学論は当時の雑誌出版や発禁に対する見解、雑感などを語っており、ジャーナリストであったにも関わらず一部の発禁を認めているのは時代のためか。作家論は漱石、二葉亭、有島、藤村、秋声、秋江、泡鳴、小山内薫、逍遙、紅葉、荷風、太宰を論じている。お恥ずかしいことだがまともに読んだことがあるのは漱石、太宰ぐらいで有島と藤村に至っては代表作しか読んでおらず、他の文豪はそんなものかと明治の文壇を想像するしかなかったのが残念。追々これからゆっくり読んでいこうと思う。
2020/06/28
yoyogi kazuo
尾崎紅葉、坪内逍遥、二葉亭四迷から太宰治、三島由紀夫まで、リアルタイムで評論し続けた唯一無二の存在。国語の教科書から近代日本文学を削除しようとする動きの中では、正宗白鳥などますます忘れ去られるのだろう。しかし文学好きがこの面白さを知らないのは勿体ない。
2021/12/03
Lieu
文学論としては印象論というか、作品分析の点で物足りないところがあるが(おそらく批評される側にとってはたまったものではないだろう)、作家という特殊な種族の観察を通して人間一般の本性を僅かな言葉で言い当てている。だから才気漲るわけでも愚鈍極まるわけでもない平凡な文章のようでいて、大学才人の虚仮威しの文章よりも遥かに耐久性のある評論である。老人に対しても若手に対しても滅多にお世辞を言わず、自分の知識に自惚れもしないだけなので、本人の意識では別に斜に構えているわけではないのだろう。
2021/01/20
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