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悪酒の時代/猫のことなど 梅崎春生随筆集 (講談社文芸文庫 うB 4)

悪酒の時代/猫のことなど 梅崎春生随筆集 (講談社文芸文庫 うB 4)

悪酒の時代/猫のことなど 梅崎春生随筆集 (講談社文芸文庫 うB 4)

作家
梅崎春生
出版社
講談社
発売日
2015-11-11
ISBN
9784062902908
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悪酒の時代/猫のことなど 梅崎春生随筆集 (講談社文芸文庫 うB 4) / 感想・レビュー

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さらば火野正平・寺

先日、梅崎春生の『怠惰の美徳』(荻原魚雷編・中公文庫)を読んで、梅崎さんをもう少し読みたく思いこれを手に取る。随筆集だと言うが、ラストの方には小説や童話もあるのでお得である。随筆はやっぱり面白く、共感したり笑わされたり。達者なユーモアである。このユーモアの人が、天皇制反対を唱えているのも面白い。あの時代の気分のひとつではあろうが、人間宣言後、また神様になりかかっている天皇制に警鐘を鳴らしている。もちろんユーモアを交えてである(これが素晴らしいと思う)。いくらか『怠惰の美徳』と重なる作品もあるが楽しく拝読。

2018/10/21

刳森伸一

気の抜けた雰囲気のものから真摯なものまで幅広く集めた随筆集。徹底的に個の立場から書かれていて、それが同調を強制しがちな日本社会に対する透徹な批判になっているため、読んでいて心地いい。

2018/11/27

salvia

地震のこともあり、『日本的空白について』が胸に響いた。「先天的無気力体質」と自称しながら、ユーモアで強い嫌悪と反撥を包んでいる。例えば、戦時の後遺症のような「隣組」への嫌悪(『蟻と蟻地獄』)、「えたいの知れない自己嫌悪」や同族嫌悪(『突堤にて』)。自分にも厳しく、真面目過ぎる人だったようだ。文壇の囲碁大会や棋風について書かれた『烏鷺近況』では、他の作家の素の一面を紹介して面白い。

2024/01/05

unterwelt

身辺雑記や文芸批評など様々な文章が収められているが、社会時評が最も刺激的だった。ただ「根本的な解決ではなく、対処療法ばかりしている」とか「東洋的ゼイタクという言葉があるそうだが、つまり人力や時間のべらぼうな蔑視の上に成り立つゼイタクのことだが」なんて文章を読むと、果たして日本人の性根は今も昔も大して変わってないのではないかという気にもなってくる。

2017/08/21

りゃーん

文庫の随筆集が1冊1600円超えとは、講談社文芸文庫も、そろそろ終りかもしれません。 しかし梅崎春生の随筆集が文庫で読めるとか思えませんでした。 この小説家くらい評価に困る作家はいません。 代表作の「桜島」や「日の果て」はピンと来なかったし、ミステリ的手法を取り入れた「砂時計」や異色作「狂い凧」はスジすら覚えていません。 しかし「幻花」という中篇は、戦後文学の第一級作品で、誰が読んでもこの小説家の非凡を心底味わえます、そのくらいスゴい! 戦後派の中で代表的作家でありながら、一切本書にも出てこないワケ

2016/02/27

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