寺田寅彦セレクション2 (講談社文芸文庫 てC 2)
寺田寅彦セレクション2 (講談社文芸文庫 てC 2) / 感想・レビュー
くみ
1番心に残ったのは「天災と国防」。災害への心構えは最近クローズアップされてきつつありますが、昭和の初めにこんなにはっきり上申していたとは。「自然は秩序を乱さない。何千年に一度でも周期通りに必ずやってくる」には本当に頭が上がらない。記憶・記録する、語り継ぐことの大切さが身にしみた。他にもコーヒーに絡んだ明治から昭和初期の銀座の様子、子供の頃影響を受けた重兵衛さんの話など、寺田寅彦の多彩な感性がちりばめられていた。
2019/10/31
春ドーナツ
「コーヒー哲学序説」は一冊の本かと思ったら、青空文庫&Kindle版の7頁の随筆であった。紙媒体で喫茶店読書をしたい。同題で検索したら、どの作品集に収録されているかわかるかなと思ったら、わからない。今度は岩波書店版寺田寅彦全集30巻の目次を調べ始めたら、7巻目にして発見した。「待てよ」、先日読んだ「寺田寅彦セレクション」は全二冊、さらに「2」の目次を確かめてみよう。あった。巡り巡って青い鳥。「蒸発皿」に収録された一篇でした。寺田さんが描いた油絵も気になっていて画像検索したが、自画像一点のみ。残念なり。
2017/07/27
OHNO Hiroshi
夏目漱石先生。気象、災害、科学、物理学、俳句、今でも、考えることをその当時、考えていたのだな。
2016/10/12
エジー@中小企業診断士
「天災と国防」人類が進歩するに従って愛国心も大和魂もやはり進化すべきではないかと思う。…昆虫や鳥獣でない二十世紀の科学的文明国民の愛国心の発露にはもう少しちがった、もう少し合理的な様式があって然るべきではないか…。「夏目漱石先生の追憶」師弟関係の深さに落涙を誘う随筆である。味読。選者が単行本未収録作品として収めた二作、「日本人の自然観」は死の直前に発表された日本人への遺言。…日本の自然界が空間的にも時間的にも複雑多様であり、それが住民に無限の恩恵を授けると同時にまた不可抗な威力を持って彼等を支配する…。
2024/03/23
ロータス
先週大地震があったばかりなので、地震と津波の記述におののかされた。「大地震も津波もまたいつか必ず来る。だからその備えをしなければならないのに国民も政府も危機感を持っていない」と彼は繰り返し述べている。とはいえ、彼の随筆の魅力は「珈琲哲学序説」に代表されるような科学者的かつ暖かい目線だろう。とりわけ漱石の思い出を書いた「夏目漱石先生の追憶」には涙を禁じ得なかった。漱石を訪ねることを「まるで恋人にでも会いに行くような心持」とまで言える濃い師弟関係。平熱でありながら、漱石への愛が溢れ出た文章は気高く尊い。
2021/02/20
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