戦後的思考 (講談社文芸文庫 かP 3)
戦後的思考 (講談社文芸文庫 かP 3) / 感想・レビュー
佐島楓
日本的な戦後の思考法は、ものすごく先鋭的な日本的なものから発祥しているのではないだろうか。そこにヘーゲル、ルソー、アーレントなど西洋的な要素をぶちこみ、しかも破綻がないという筆力に驚く。その方法が正しいのかどうかわからないのだが、論理として通っているので文句が言えない。うーん、読まねばいけない本が増えていくなぁ。
2019/08/31
ころこ
戦前における日本の侵略を謝罪するには、謝罪する主体が必要である。その主体は、刑事責任能力のように理性的な人格的同一性を持っていなければならない。したがって、戦前と戦後の日本の連続性を確認するため、戦後の人間が戦没者に哀悼を示す必要がある。他方で、戦後リベラルは戦後民主主義に基づいているため、戦後に批判するだけの立場に立つ。まず侵略を謝罪せよという。彼らは戦後に指導的立場に取って代わったため、それまでの責任は負わない。彼らにとって、戦前戦後の切断はむしろ正しいといえるし、切断を我が物とすることで批判する立場
2019/10/14
ゆえじん
やっぱ加藤典洋しゅごい… 敗戦後論への批判を受け止めて書かれたのが本書。敗者の立場に立つ「ねじれ」た思考から、生活から切り離されていってしまうインテリの問題を「後進性」として指摘し、私的なものから公的なものを立ちげるという近代観からアレントを批判して… ルソー、ドストエフスキー、三島由紀夫… そう、ぼくの好きなモチーフがたくさん登場する。そしてなんと解説は東浩紀、解説は東浩紀。なるほど… ゲンロン0のグローバリズム対ナショナリズムの構図は加藤典洋のアップデートだったんですねぇ…
2019/08/18
hiroizm
だいぶ批判を受けた戦後論の続編らしいけど、ジョン・ダワー「敗北を抱きしめて」、鹿島茂「吉本隆明1968」、ドナルド・キーン「日本人の戦争」などなど読んだおかげで納得して読めた。個人的に馴染みの薄いアーレントやルソーのくだりは読むのが大変だったけれど、最後の三島由紀夫論他色々と頷けるところが多い。とにかく力作。読み応え充分、
2018/01/16
耳クソ
やばすぎる。この本は大傑作!……って言ってる場合じゃねーよそこの読者ぁ!!と、二十年前から、私の息の根の底まで声がする。この本はやばすぎる。みんなに読んでほしすぎる。みんなを戦後(いま)が呼んでいる。
2018/10/05
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