建築文学傑作選 (講談社文芸文庫 あW 1)
建築文学傑作選 (講談社文芸文庫 あW 1) / 感想・レビュー
mura_ユル活動
建築家の青木淳が選ぶ建築文学、短編10編。物質的な建築ではなく、人と建築の間があるとすれば、人に近しい、ともすれば全く建築を感じることの出来ない短編集。その選んだ解説を巻末に読むが、私の理解力の低さもあって、理解出来ない。頭を切り替え、本書は色々な作家さんの作品が読めるとあって、主題をそこに置いた。1番は幸田文さんの『台所のおと』、次は立原道造さんの『長崎気候』。台所のおとは先の長くない佐吉が病床で代理の妻さきの料理屋の台所の音を聞く物語。 続く→
2017/07/21
コットン
建築と文学って一番好きなやつだと!(アンソロジ―集)しかも須賀敦子、筒井康隆、澁澤龍彦、芥川龍之介の名前があったので興味津々。結果は肩透かし的な作品もあったが須賀さん、澁澤さんはいつもの安定感だった。平出隆さんのゲ―テの家の階段や階段の公式の階段に特化した話『日は階段なり』が興味深い。スト―リ―の面白さでは初めて読む幸田文さんの料理人と妻の話『台所のおと』が切なくていい。
2017/05/20
ophiuchi
編者による解説を読んでも、それぞれがなぜ「建築文学」なのか分からないものが… 初めて読んだ立原道造の「長崎紀行」は良かった。
2019/06/05
T.Matsumoto
青木さんの建築や言説を少し知っていないと、理解し難いかもしれません。なぜなら撰定理由が、建築と文学両面共に奥深く、建築が出てくるのは二の次というから驚き。是非、解説を最後に取っておいて、なぜ選ばれたのか推理しながら読んでみてほしいです。ルイヴィトンの外装設計が一般の方には有名かもしれませんが、青森県立美術館や新潟の潟博物館を見に行くと、より撰者の独創性が分かると思います。もっと実作があってもよい建築家さんです。
2020/05/30
moonanddai
「建築文学」と言うから、綾辻の「館」や島田荘司の「斜め屋敷」、な訳ないだろうと思って読みましたが、もちろん違います。「流亡記」は相当以前に読んでいますが、時の流れの中を流される「小さな人間」という趣に、「長城」という観点を加えると、ちょっとニュアンスも違ってくるようです。何というか「残る(と思われる)もの」と「残されるはずのないもの」といった…。でも本書はそういったものだけではないらしい。建築家という技術者の目からみた、建築をも思わせる小説。そこに構成や位相なども見えるらしいのですが、私には無理…W。
2017/09/04
感想・レビューをもっと見る