写生の物語 (講談社文芸文庫 よB 8)
写生の物語 (講談社文芸文庫 よB 8) / 感想・レビュー
かふ
吉本隆明の歌論。相変わらず難解な言説だが、論理はそれほど難しいことを言っているわけではなかった。五七五七七という短歌的声調(音韻)は意味的なものよりも百人一首のように調べとして記憶されやすいものである。だがそれは個人的な理念を失っていく。それは戦後短歌の反省として塚本邦雄らによる前衛短歌運動として、形而上学的な難解短歌が生まれる。吉本は形而上学的な短歌よりも短歌的声調に注目して、釈教歌が法然の短歌のうちに現れたように、そこから世俗歌としての理念(例えば親鸞の和讃)として口語化していくと見る。
2023/02/10
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