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変身のためのオピウム/球形時間 (講談社文芸文庫 たAC 4)

変身のためのオピウム/球形時間 (講談社文芸文庫 たAC 4)

変身のためのオピウム/球形時間 (講談社文芸文庫 たAC 4)

作家
多和田葉子
出版社
講談社
発売日
2017-10-11
ISBN
9784062903615
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変身のためのオピウム/球形時間 (講談社文芸文庫 たAC 4) / 感想・レビュー

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真琴

★★★★★ ラテン文学『変身物語』をモチーフにローマ神話の女神と同じ名を持つ22人の女性と「私」が交錯する『変身のためのオピウム』と高校生を中心とした群像劇の『球形時間』 『変身のためのオピウム』は「オピウム=阿片」がやめられない薬物であるように中毒性があり陶酔感に陥った。「花開いて血を吐き出し湯は次第に赤くなっていく」(P236)と紅茶を表現している件が印象的で紅茶を飲む際に想像してしまいそう。理解するより感じて楽しむをスタンスに読んだ。

2023/07/04

はちめ

変身のためのオピウムは途中で断念。ギリシャ神話の女神の名前に触発された散文詩的な作品だが、ギリシャ神話の素養がないのでついていけなかった。 球形時間は多和田葉子作品には珍しい風俗小説的な側面を持つ。21世紀になったばかりの頃の日本の風俗を舞台にしている。主題が何かなどの詮索は多和田作品には余計なことなので、後書に作者が書いているようにイザベラ・バードが記録している日本人のうんこ座りに触発された多和田流の風俗小説としておこう。☆☆☆☆

2021/02/27

圓子

【球形時間】ナチュラルに無邪気に既存の世界に迎合しない高校生たちの姿に、気を許していると、やはりパラレル≪多和田≫ワールドへ連れていかれてしまう。いつの間に世界線は歪んだのか。時間は環状ってな表現もされるけど、これはどうして球形なのかな。ぴちっと閉じたところを表面から内部から、不定に行ったり来たり、あるいは行ったきり・来たきりのイメージだろうか。コンピューターゲーム「リングイスティック・ヒーロー」そんなゲームがあったらぜひやりたいのに。

2018/06/17

29square

「変身のためのオピウム」はかなりヘビーな読み物だがその表現の凄味に驚嘆の連続。紅茶を淹れるさまは「花開き、血を吐き、赤く染める」だし、「節約」の対義語に「バロック」を出すセンス! 「球形時間」では主人公たちが周囲の安直な会話に突きつける鋭利な眼差しに戦慄。言葉というものを飼い慣らせない猛獣と気付かず、放し飼いにしてきたのだと思い知らされた。 正直、この作者についてこのふたつの作品だけでは、まだ何も伺いしれなかった。底が深すぎる井戸を覗いた恐怖すらある。

2021/03/05

山ろく

読み進むのにやたら時間がかかった。そもそも筋を追う小説ではない。22人の女性が章ごとの主役として表題を飾り、歯ごたえのある比喩とすっと呑み込むにはもったいない警句の山とともにそれぞれの心情が描かれるが、後の章で彼女らが出てきても「これ誰だっけ」。ヤワな記憶力が恨めしい。「わたし」が誰かを気にとめなかったのは不覚。もう一編は女子高生と同級生男女、教師や家族の話で格段に読みやすいが、視点が入れ代わり一人称と三人称が混じり、次第に現実と幻想が交わっていく。外国語でも読んでみたい。いつかノーベル賞を取ってほしい。

2019/12/05

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