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バウッダ[佛教] (講談社学術文庫 1973)

バウッダ[佛教] (講談社学術文庫 1973)

バウッダ[佛教] (講談社学術文庫 1973)

作家
中村元
三枝 充悳
出版社
講談社
発売日
2009-12-10
ISBN
9784062919739
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バウッダ[佛教] (講談社学術文庫 1973) / 感想・レビュー

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白義

日本の仏教文化は大乗文化が基調であり、そしてその大乗仏典の中に、釈尊自身の教えが直接反映されたテクストは「実は一つもない」。本書は釈尊の教えを直に伝える阿含経典と、後世の作者達が二次創作した大乗経典を繋げる宗教史を、緻密な文献学的読解によって整理して教えてくれる大労作。原始仏教から大乗仏教に伴う仏概念の多数化や拡大、文化的な変容を決してネガティブに捉えず、きちんと思想の発展、展開の歴史として功罪合わせて探求していて、入門書としては相当大部だが仏教史のかなり深いところまで一覧できる、碩学の集大成的著作である

2017/12/09

hakootoko

ちょっと、置いときます。阿含経まで読了。

2015/03/23

kichy

初期仏教から大乗仏教までの流れが背景を含めて明瞭にまとめられている。大乗仏教は阿含経典の初期仏教とは似ても似つかぬ別物と説明されることがあるが、本書で変遷の経緯、歴史を知るとこのように一刀両断できないことが分かる。シャカの説法が現在の大乗の多彩な教えに展開していったのは無数の真剣な求道者がいたが故であり、それだけ魅力に満ちた奥深い教えであったからであろう。仏教が日本でこれほど浸透したのは日本人が持つ精神性や風土によるところが大きいということも改めて認識させられた。

2024/01/07

不識庵

初出版から30年以上たつが、色褪せない大著である。釈尊が説く原始仏教から大乗仏教の起こり、日本への伝播、現代の仏教まで視野に入れて概説する。二千年のロマンに浸れる。仏教関連書は数多あるが、本書は仏教を学ぶ人のよすがとなる。釈尊の言葉は阿含経の中にある。人口に膾炙した大乗の経典群は釈尊が説いたものではない。釈尊の言葉を更に広げた経典ととらえられる。釈尊の説く「平等」から「仏性は全ての人にある」という具合に。余談だが「刹那」はサンスクリット語で「クシャナ」という。『ナウシカ』のあの戦う姫君の由来かもしれない。

2017/07/15

roughfractus02

この実証的な仏教史入門書の表題は「ブッダを信奉する人」(Bauddha)である。教義を設けず、人に合わせて対話的に説法した釈尊の言葉は、その柔軟性と多様性から様々な解釈を生み、世俗化し、権力と結託し、その教えから離れるゆえにその原点に向き合う潮流も作り出す。が、自らの悟り(小乗)から他者の救済(大乗)に向かう流れの底には「他者の発見」があると本書はいう。自己でない者としての他(否定)、自己と他者の相反(矛盾)、他から見た自己も他者であることの発見(超越)が、全てを関係と捉える「空」の宇宙を生み出すからだ。

2021/04/10

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