構造主義進化論入門 (講談社学術文庫 2037)
構造主義進化論入門 (講談社学術文庫 2037) / 感想・レビュー
樋口佳之
蛇口を壁にとりつければ水が出ると思ったのだ。確かに蛇口をひねると水が出る。しかし、水が出る根本的な原因は蛇口にあるわけではない。その背後に水道という大きなシステムがなければ、蛇口をひねっても水は出ない。DNAの役割は水道の蛇口をひねるようなもの/進化論はまだまだ「論」に留まる部分が大きいとわかりましたが、日本ではどうしてここまで受け入れられているのかも不思議
2016/11/24
おーすが
再読。ラマルクの錯葉室のはなし、詳しく書いてある本あるかな。
2021/11/12
almadaini
前半部分の「進化論の歴史」みたいな話はあまり知らなかったので勉強になった。後半は構造主義的進化論の見取り図のような解説で、面白い部分もあったが、「システム(構造)」という言葉に意味を持たせすぎているように思った。あと、パラダイムと論文生産性の議論はなるほど確かにという印象だが、それだけで切り取りきることもまた難しいと思う。
2011/06/06
Euphonious
プロローグとして、ダーウィニズムの概要について述べつつ著者自身 のフィールドワークによる研究結果を持ち出しならがら、進化論の歴史上でどの様にしてダーウィニズムが限界を迎えていったかが示される。第一章から第三章では、プラトンやアリストテレス、ラマルク達の進化論が歴史的な生物観として語られた後、再び「ダーウィニズムとは何か」という根本問題に戻り、メンデル達との主張のズレを補正しながら「ネオダーウィニズムの発展」へと繋ぐことで、進化論の基礎的な部分を確実に押さえていく。(続)
2012/10/24
iwri
前半は進化論の前史からネオダーウィニズムの展開とその欠点の指摘。後半は、著者の構造主義進化論の説明といった内容。文章は平易でわかりやすかった。が、不変項(構造)を設定して、変項は不変項に拘束されるというタイプのシステム論的議論は珍しくもないし、生物学的な実証的内容についてもそれほど…という感じ。概ねの論旨には同意できるが、河本英夫氏が指摘するように、「構造」自体が抽象的で「なんでもあり」感が強い。科学論における社会構成主義の議論になるとその印象が強くなる。進化論の簡単な概説という意味では良い本だった。
2011/10/23
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