「私」の秘密――私はなぜ〈いま・ここ〉にいないのか (講談社学術文庫 2129)
「私」の秘密――私はなぜ〈いま・ここ〉にいないのか (講談社学術文庫 2129) / 感想・レビュー
テツ
「私」とは過去のある瞬間を主観として感じ取れる存在であるということ。過去を想起することにより「私」も「いま」も目の前に誕生する。私の在り方。自我。「私」はどこにいるのか。どのように「私」を確認したらいいのか。世間の大人たちが根本的な「私」のことを全く理解せずに宣う「自分を大切にしろ」的なお話がどれだけ浅薄なのか。「自分」のことも「私」のことも考え抜いたこともないくせに。時系列に沿った「私」を想起出来なくなったときに、きっと「私」の存在は崩壊するのだろう。儚いもんだな自分なんて。
2020/02/15
SOHSA
言説は非常に丁寧でやさしく分かりやすい。時間、特に過去と過去を想起する現在からの「私」という自我の在り方。視点としては面白く興味深いが、必ずしも同意できない部分が多々あった。論理的にどうしても腑に落ちないのだ。本質と働きを説明するための核となるべきところをトートロジーに終始したり超越論的存在であることに帰結したり、どうにもストンと腹に落ちてこない。再読の要あり。
2013/04/11
ichiro-k
「自我」「他我」の問題だろうが、内容はいまひとつ腑に落ちない。 読了後、〈私〉を認識できなくなるアルツハイマーや認知症を発症するのがますます恐ろしくなる。
2012/11/10
さえきかずひこ
私とは、現在の思考や知覚の場面ではなく、過去を想起する場面で登場してくるという考えをくりかえし丁寧に述べた本。自我論というより、自我を成り立たせる空間と時間についての論考で、込み入っている。カント的だなぁと感じながら読み終えた。中島さんの時間論は他にも買い貯めてあるので、そちらも読んでみよう、かな。
2017/07/01
大道寺
本書はタイトル通り自我論を古今の哲学者の見解を引き合いに出しながら語る本で、著者のいつもの調子の自分語りはほとんどない。自我論を立て続けに読む流れが来ているのでタイトル買いした。著者は「私」とはエピソード記憶に関して実際には行わなかった可能性も含めて語ることができるような存在であり、「他者」とはそれができると見なすことのできる者すなわち過去世界について言語のみで意思疎通できる者(「他の私」)であると言う。(1/4)
2012/10/22
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