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妖怪学新考 妖怪からみる日本人の心 (講談社学術文庫 2307)

妖怪学新考 妖怪からみる日本人の心 (講談社学術文庫 2307)

妖怪学新考 妖怪からみる日本人の心 (講談社学術文庫 2307)

作家
小松和彦
出版社
講談社
発売日
2015-07-11
ISBN
9784062923071
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妖怪学新考 妖怪からみる日本人の心 (講談社学術文庫 2307) / 感想・レビュー

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ミエル

神と対峙する位置に妖怪や怪異を並べられるのは、おそらく日本人特有の感覚だと思う。一神教の中ではありえないだろうが、八百万の神が当たり前に浸透した日本ではなくはない。論理で説明のつかない事象を納得するために作り出された怪異や妖怪たちは、現代でもちゃんと生き続けている。なんとも説得力あるお言葉、さすが妖怪や怪異をオカルトではなく学術テーマに乗せた第一人者だと思わざるを得ない。形を変えながらも妖怪達が生きる現代も捨てたものじゃないな。解明されない謎をあえて放置する遊び心は忘れたくない。

2020/06/05

九月の白い雲

妖怪とは何か?どんな時にどんな場所で出現するとされるものなのか、妖怪の起源は、などなど妖怪にまつわることや呪い・憑き物などについて解説されている。「妖怪学は妖怪文化学であり、妖怪を通じて人間の理解を深める人間学である」と、本書の始めにある。妖怪は人の心や文化とは切り離せない。古くから日本人と共に生きてきた。かつては闇の中にひっそりと身を隠していた妖怪は、今や漫画や小説、ゲーム、アニメにも登場し一部は子供達にも愛される存在となった。そうやって生き延びているんだと思う、人のそばで。続く↓

2016/09/02

テツ

本邦に跋扈する八百万の神々とも(神様みたいなすげえ力をもつ奴らもいるけれど)個人のうらみつらみが凝った幽霊とも違う、妖怪という存在。何をもって妖怪と定義するのか。そもそも妖怪とはなんぞやという、日常生活において微塵も役に立たないお話。でもな。幼い頃に祖母に買って貰った水木しげるの妖怪辞典に熱中してから今に至るまで、全く飽きることなく楽しいんだよな妖怪についての諸々。森羅万象に抱く畏れと不思議さ。人はそうしたモノを説明したいと、納得したいと願い続けてきた。その願いの隙間から妖怪の多くが生まれる。

2023/05/16

たろーたん

①「妖怪を産む心性」、②「妖怪が生まれる空間」、③「妖怪が語られるコスモロジー」は、それぞれ違うと思う。それが整理されず、妙にギュッと圧縮されていて、若干読みづらい。否定的な現象の説明原理としての妖怪、昔話に出てくる妖怪、現代の妖怪の事情などは、重なり合いつつも様相・次元が違い、読んでいて把握しづらい。例えば、「否定的な現象の説明としての妖怪」と、「周辺で今井な空間・崩壊や死を暗示させるような空間(墓場、辻、峠)で妖怪が出没しやすい」の話は、妖怪を題材にしているが次元が違うと思う。(続)

2023/02/10

in medio tutissimus ibis.

超越的存在・現象のうち祭祀されるものを神、されないものを妖怪と呼ぶが、これらは祭り上げ/祭り棄てされることによってその位置を移しうる。また人間も超越的な力を発揮することで妖怪になり得るが、その境界的な存在には陰陽師や修験者や憑き物筋などがあり、またそういった特別の背景を持たない人間の無意識に行われる嫉妬や呪詛も妖怪の一種である。そのまま鬼になることもある。人が死後そのままの姿形を保つものを特に幽霊と呼ぶ。日本人の原風景の基本は盆地であり、周辺を為す山海を異界、そこに住む異人もまた妖怪の予備軍と意識される。

2019/12/12

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