ひとはなぜ戦争をするのか (講談社学術文庫 2368)
ひとはなぜ戦争をするのか (講談社学術文庫 2368) / 感想・レビュー
やすらぎ
口から発する言葉は総じて感情が先走るが、手紙に記すことで心を落ち着かせることができる。1932年の往復書簡である。攻撃や破壊の欲動を誰もが抱えているのだろうか。排除から生まれる憎悪。この世界から共感を得ることは稀有だが、理解し難い出来事は数多く転がっている。感情を握り潰されながら、善と悪の狭間で揺さぶられる。真実も捉え方も一つではない。養老氏のテロへの考察に共感する。未だ暗闇に隠れた道標の頁に触れることさえできないが、手探りを止めてはいけない。本書を開く衝動の起きない世界になってほしいと願う。一日も早く。
2023/10/27
KAZOO
アインシュタインとフロイトの戦争に関連しての往復書簡集です。このようなやり取りをしていたとは全く知りませんでした。かなり凝縮されている感じがします。ただ主題となっていることはかなり重いと思います。うすいのを補うせいなのか、養老先生の解説がありますが若干余分のような感じもします。この書簡だけ読んでみれば、考える時間をかえって与えてくれる気がしました。
2016/09/18
chimako
天才二人の言わんとするところの全てを理解できたとは思わない。が、二人が平和をなんとしても実現したいと望んでいる気持ちは伝わってきた。これはアインシュタインが国際連盟に依頼され、意見交換の相手にフロイトを選んで交わされた書簡である。今の文明においてもっとも大事だと思われる事柄にアインシュタインが選んだテーマは「戦争」 何世紀もの間多くの人が国際平和の実現に努力を重ねてきたのに未だ平和が訪れないのは何故か。それを片や科学的な脳を持つ思想家として、片や不世出の心理学者として真剣に語り合う。もう一度読む。
2016/12/17
けんとまん1007
人のこころの奥底にあるものを考える。知性・文化と、人の欲望・エゴ。答えを見出すことは困難。しかし、答えの方向性を見出し、考え、歩み続けなければならない。ふと、ある言葉が浮かぶ「人間がいなければ、地球は保たれる・・・」。
2022/08/05
モリー
物理学者のアインシュタインと心理学者のフロイトの間で交わされた公開書簡があった。テーマはタイトルの通り「ひとはなぜ戦争をするのか」である。この書簡が公開されたのは二度にわたる世界大戦の間のことである。人は長い歴史の中で幾度も戦争を繰り返してきた。では、なぜ人は戦争をするのだろうか?二人は「人間の心自体に問題がある」という見解で一致している。人の中には暴力を肯定する心があるのだ。これを否定できる人は少ないのではないか。では、人が戦争を起こさないためにはどうすればよいか。養老孟司、斎藤環お二人の解説も良い。
2022/03/21
感想・レビューをもっと見る