自然魔術 (講談社学術文庫 2431)
自然魔術 (講談社学術文庫 2431) / 感想・レビュー
春ドーナツ
16世紀末、ナポリにて出版。ポルタさんは白魔術師で自然魔術の研鑽を日々積んでおられた(ハリーポッターみたいに。というのは冗談で、日常生活向上のために)。彼の身辺では科学と哲学が密接に結びついていて、神羅万象に神が宿っている。まさに憧れの錬金術の世界です。「銀から金を抽出する方法」が具体的に、それこそハウツー本みたいな文章で書かれている。けれどもそこには神話的なバイアスがかかっていて、幻想物語を読んでいる感じがします。近代科学とは異なり、自然魔術は普遍的な法則や原理とは無縁だからかも知れません。でも魅力的。
2017/09/12
○○○ ○○
磁石や光学についての近代的な知見と同時に、ダチュラ入りのワインでトリップする方法とか処女膜を復活させるとかのお得な情報が盛りだくさんで非常にためになる。「哲学者として振る舞うためにはまず裕福でなくてはならない」というパワーワードや最終巻が「何のジャンルだか分からないけど何かの実験」の寄せ集めなのもたまらない。「一定の法則が与えられるはずもない」自然に対する雑学的興味の中に「数学的知」への還元の第一歩が垣間見えたり、秘密主義と伝承することへの使命との葛藤があったり、訳者解説以上に近代科学に近いものを感じる
2017/07/07
ふるかねこがね
思想より科学に通じる部分がある。 植物に動物、鉱物。観察や資料に裏付けられた記述は、まるで理科の教科書のよう。 しかし、今では迷信とされる部分も多く、やはり昔の科学だなぁと。 これが書かれたのは16世紀なのだから、その意味では驚きだ。
2017/08/21
tban
白魔術士ならば ファンタジー世界で魔術を語るうえで これは持っていた方がよさそうです。 通読ははっきり言って相当に難しいですが どう自然を前に白魔術を考えていたかが よくわかります。事典として持つべき1冊。
2017/05/16
Amethysteria
16世紀の世界観。科学的な法則や普遍への憧れと、記述された不思議な業を現実世界より優先する想いの合いの子。具体的に書かれている業ではなく、照応関係とその解釈の法則を理解することで、21世紀にも通用するものです。
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