道化師の蝶 (講談社文庫 え 33-1)
道化師の蝶 (講談社文庫 え 33-1) / 感想・レビュー
absinthe
途方もない分からなさと心地よさ。嫌われるのも無理はない。2回の読了で作品の印象は反対になった。初回は何のことかわからず完全に置いてきぼりにされたが、再読してやっと構造が見えてきた。言葉の持つ心地よさは伝わってきたが、言葉の奔流に押し流されてしまった。初回で諦めないで良かった。absintheの中では分類不能にカテゴライズ。既視感のなさは半端ではない。読んだ直後にもう一回読んでも既視感が無い程だ。何かの類型に当て嵌めようとするのは無駄かも知れない。
2021/05/09
k5
スタニスワフ・レムかカート・ヴォネガットを思わせる導入でグッと掴まれるのですが、そのあとのグリップ力が弱いんだよなあ。途中で飽きて酒呑んじゃって、分からないのが余計分からなくなるという。なお自分としては芥川賞受賞の表題作より、カップリングの「松ノ枝の記」の方が持続力高く読めました。
2020/09/16
ω
2012年芥川賞ω こりゃ物理学出身というの納得❗️むっずー。私も理系だけど物理専攻の人だけは脳みその作り違うと思う笑 ふわふわとあちこち舞う蝶になれます。文字を漂いたい方はぜひ。
2021/10/04
KAZOO
円城塔さんの芥川賞受賞作です。円城さんの小説は何冊か読んでいるのですが(伊藤計劃さんとの共著も含めて)、今までのイメージをまるっきり変えてしまうものでした。私にとってはここに収められている2作ともに教養小説のような感じで読ませてもらいました。短篇ですが中味は結構広がりがあると感じます。
2015/01/29
絹恵
言葉の海で人間に自由が与えられたのだとしたら、それは言葉を手放すことなのかもしれません。でも言葉を失えば、心は決壊して、海を渡ることは出来ないのだと思います。声にならなくても、それでも私たちには言葉があるから、会いたい人に会いに行くことが出来て、留まって刻まれた歴史を知ることが出来て、そして大切な人と歴史を重ねることが出来ます。それこそが自ら掴んだ自由なら、言葉に囚われるのではなく、また言葉を手放すわけではなく、これは言葉を超えるためのはじめの飛翔でした。物語に収められた言葉に揺さぶられました。
2015/01/25
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