修羅の宴(下) (講談社文庫 に 29-10)
修羅の宴(下) (講談社文庫 に 29-10) / 感想・レビュー
W-G
バブル崩壊からのお決まりの危機的状況。本で読むと、詐欺師以外の何者にも思えない真田のような人間が実際にいて、通用してしまっていたというのがすごい。熱に浮かされるというのはこういうことなのだろう。実際の事件以上に、銀行の腹黒さにも驚く。滝本や鏑木のようなトップはもはや時代遅れの感があるが、今の時代にもいつか必ず反動があって、その時には再びこういうトップの活躍の場が増えそう。自分のためにここまで拘って頑張れるというのも、それはそれで才能だよなと最近は思う。
2020/02/21
小説を最初に書いた人にありがとう
バブル時代の経済事件イトマン事件をモチーフにした小説でした。題名の通り金の虜と化した修羅たちが毎日宴を催すように派手に生きていた時代。自分が入社してすぐに弾けてしまい実体験はあまり無いものの、その余韻は感じていたのを思い出す。いま、実業で働いてるほうが生きてる感じがする!主人公の高卒バンカーが出向先の商社で自分の城を守るために必死になるがそこは砂上の城なのか…!? 面白かった。
2015/02/24
ミスターテリ―(飛雲)
バブルの頃にはこんな話が至るところで、地上げ屋、ビルの買収、ゴルフ会員権の転売、絵画取引、政治家への現ナマ、愛人にマンション、銀座の高級クラブでドンペリ、ロマネコンテで一晩で何百万と景気のいい話がポンポン飛び交う。「金は幾らでも湧いてくる。千億や二千億、いや兆の金とて作り出すことはさして難しくはない。土地が株がいや全ての投棄商品がここまで上がってしまった以上、下げに転ずれば、日本の経済は破綻することになるー」誰もがそれを信じて疑わなかったが、現実にはバブルは崩壊、修羅の宴は終焉を迎えるのである。
2022/08/15
Walhalla
上巻から続けて読みました。 バブル景気の始まりから崩壊までのあいだ、商社のトップで有り続けた男の物語です。金が金を生み、地価や株価の上昇が青天井と言われた時代が、生々しく描かれていました。 私はバブル景気を味わったことはありませんが、このような、まさに「錬金術」にハマっていくのも、理解できなくもないですね。それほど、狂乱の時代だったのでしょう。そのツケは、あまりにも大きいですが・・・。
2017/05/24
うめ
転がり落ちる分岐点が明確でなく、じわじわと、だけれども、確実に悪くなっていく様が恐ろしい。始終、張り子のトラ、の印象がつきまとう。熱に浮かされて踊り狂う修羅達の、お金を右から左へ転がして、膨らみゆくのは汚れた金か、絵に描いた餅か、欲か、それとも野心か。あの時代の濁流に乗ったつもりで呑まれて沈んだ姿には、因果応報を感じるよりも、ただ悲しみだけが滲み出る。どの時代も生まれと育ちが一番である事はなかなか覆せないもの。読み終えた後ウィキペディアでイトマン事件をチェックした。
2019/07/05
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