真夏の航海 (講談社文庫 か 135-1)
真夏の航海 (講談社文庫 か 135-1) / 感想・レビュー
新地学@児童書病発動中
カボーティの死後に発見された作品。10代後半に書かれたそうで、その圧倒的な才能に心を打たれた。10代の時にこれほどのものが書ければ、『遠い声、遠い部屋』のような作品を作り上げるのは、それほど難しくなかっただろう。原文のせいか翻訳のせいかよく分からないのだが、やや読みにくい箇所があるのは残念だ。それでも詩的なきらめきに満ちた素晴らしい作品。大人になりつつ少女グレディのひと夏の経験が瑞々しい筆致で描かれる。生と死の間を綱渡りするように生きるグレディは、カボーティの分身のような気がした。
2018/03/05
優希
危うくも美しい物語でした。女でも少女でもない時間と恋。思春期の心の機微をほろ苦く、甘酸っぱい感覚そのままに描き出しています。夏の空気が肌を刺してくるようでした。ありふれたラブコメですが、その繊細さは儚くて壊れそうな輝きを感じます。古き良きニューヨークの雰囲気もリアルでした。映像化したら綺麗だと思います。
2015/10/28
やきいも
カポーティーが10代後半に書いた作品。ニューヨークを舞台に繊細なティーンエイジャーの恋が描かれてます。読む人によって好き嫌いが分かれるタイプの本のような気がします。
2015/08/27
えりか
ニューヨークの熱気、煙草の煙、マティーニの香り、危うく情熱的な恋、夏の輝き。散りばめられている詩的な表現はとにかく美しく、鳥肌が立って恐ろしいくらいだ。ため息がでる。若さゆえの危うさは、身を滅ぼしかねない。むしろ滅んでもいいと思うほどの恋に捕まってしまった夏。向こう見ずで思いのままに行動し、閉じ込めてはいられない奔放さと無垢で傷つきやすい少女の不安定さが、これでもかと突き刺してくる。ラストがなんだか曖昧で未完のようだが、この終わり方はこれはこれで夏の夜の熱気の中に消え行くようでよかったと思う。
2016/08/12
ぶんこ
「ティファニーで朝食を」を映画で観ただけで、著者初読みです。 十代の頃に書いたと知り驚きました。 感受性がするどすぎたのでしょうか。 お酒とドラッグで命を縮められたようです。 17歳の上流階級の少女グレディが、駐車場管理をしているクライドに恋をし、皆に内緒で結婚し妊娠するひと夏の出来事。 若さの暴走か。 こういった物語では切なくなるのですが、唯々ため息ばかり。 共感できるところも、切なくなるところもありませんでした。 著者本人は、この作品をお蔵入りにしていたのに、死後発表されて、何だかお気の毒。
2015/11/09
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