新装版 D機関情報 (講談社文庫 に 1-117)
新装版 D機関情報 (講談社文庫 に 1-117) / 感想・レビュー
chiru
西村京太郎さんの、史実をベースにしたスパイ小説。 終戦工作をテーマにしたこの作品の魅力は、なんといってもラスト1行の『ひとこと』に尽きると思う。 軍から密命を受けた主人公の前に現れる各国の諜報部員。 本物/偽物/二重スパイを、命がけで探り合うシーンの連続にページをめくる手が止まらなくなる。 敗戦のカウントダウンと破棄された和平交渉。 日本への最後の電報に付け加えなかった言葉が、読む人の心を切なく、ぐらぐら揺さぶるはず。。。名作です。 ★5
2018/11/19
あすなろ
550超の西村氏作品の第3作目の作品新装版。当たり前だが、十津川シリーズにあらず。江戸川乱歩賞受賞後第一作。飾らず述べると、面白い!現代の緻密な書き込みあるミステリーに比べれば粗はある。しかしストーリー内容と展開・舞台・簡潔な文章がそれを凌駕しているのでは。第二次世界大戦末期で中立国スイスをメイン舞台に、諜報員達が奔る。うーむ。タマタマ図書館の検索をネットでしていて当たった作品であるが、西村先生を見縊ってはいけなかった。失礼しました!
2015/08/30
オーウェン
西村京太郎はスパイ小説まで手掛けていたことを、この作品で初めて知った。 海軍中佐の関谷は金塊を入れたトランクを持ち、任務のためスイスへ飛ぶ。 しかし駐在官をするはずだった友人の矢部が死亡しており、その経緯に疑問を抱く。 第二次世界大戦の折であり、Dと名乗るスパイ機関の陰謀に巻き込まれていく関谷。 戦争反対のためなのに、史実は日本は戦争を続けていってしまい悲劇を生む代償となる。 展開が非常に早くテンポが良いので、スパイ小説とはいえ混乱は一切なかった。 西村氏の多才ぶりが伺えた1作。
2023/08/05
ちょろこ
初めてのスパイ小説!の一冊。スパイ小説、理解できるか、波に乗れるかという心配もなんのその、見事に物語の世界に引きずり込まれた。誰が味方で誰が敵か…ハラハラのシーンはもちろん、主人公 関谷が、軍人としての立場、任務の遂行か矢部の遺志を引き継ぐべきか…葛藤するところに魅せられた。最後のシーンがとにかく印象的。返電の言葉、これがたぶん読者にとっても全て…な言葉の気がした。やはり初期作品にハズレなし。
2015/10/07
ひよこ
友人と金塊の行方を追っているうちに、関わっていく人たちの意思を引き継ぎながら段々と国家の命運をかけて奔走するようになっていく関谷。熱いです!最後の電報の一文が胸にくる!あなたは間違っていないぞ、関谷!(`;ω;´)
2018/09/21
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