快楽 (講談社文庫 あ 128-2)
快楽 (講談社文庫 あ 128-2) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
2組の夫婦がヴェネツィア旅行に出かけるという安直なエンターテインメント小説のような設定なのだが、そこは芥川賞作家だけあって、かの地で4人それぞれの濃密な心理劇を展開して見せる。解説の鴻巣友季子などは「青山七恵文学の新境地であり、ひとつの頂点」と、もう手放しの絶賛なのだが、それほどのものでもない。4者それぞれのあり様が、やや作為的である感は否めない。官能小説まがいの終盤も予想される範囲内に収まっており、各人が抱える葛藤もまた斬新さには乏しい。つまりは、虚構空間としてのヴェネツィアを描きたかったということか。
2016/08/16
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辛口の感想です、すいません。快楽?自尊心の間違いなんじゃないでしょうか?終始、気分が悪かった。4人共、揃いも揃って全く共感できず、どうしてこうも相手を思いやるという気持ちが欠落しているのかと常々疑問を感じた。自分の思い描く快楽を、他人に押し付け、理想化する。そんなことになんの意味があるんでしょう。
2015/08/23
竹園和明
ヴェニスを旅する、見た目は不釣り合いな二組の夫婦。それぞれが抱える思惑と魂胆が絶え間なく交差するー。正直それなりに面白かった。艶やかなヴェニスの街風景や4人の心理戦のような内面描写が延々と続く。タイトルから連想される?ような性愛の表現は全然少なく、しかし全体を覆うヴェニスの空気が匂い立つようなエロスを醸し出す。“本物”を求め続け、遂にヴェニスでそれを得た主人公燿子。しかしその本物はー。彼女が最後に言う。「本物だって偽物だってどうでもいい」。問題はそこではなく、一時に得た刹那の快楽だったのだろう。
2016/03/28
coco夏ko10角
内容はあまり…。青山七恵さんには物語よりも文章に期待して本を手にするけど、今作は今までと文体を変えていて…いつもの文章の方が好きだな。
2016/02/04
showgunn
うーん。。自分が青山七恵作品に求めてるものとは違った、とか登場人物たちに全然感情移入できない、とかの点を置いといてもあまりよくできた小説とは思えなかった。。 実験作と思っておけばいいのでしょうか。これは個人的な好みの話ですが青山七恵には他の作家にはない「笑い」という強力な武器があるので、それを手放さないでいてほしいなと思ってしまいますね。
2017/04/14
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