新装版 阿片戦争 (四) (講談社文庫 ち 1-70)
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新装版 阿片戦争 (四) (講談社文庫 ち 1-70) / 感想・レビュー
ケイ
阿片戦争の概要については大変詳しく、物語として語られるので歴史が入って来やすい。しかし、人物の動きや性格が一貫していなかったり、推量で書かれている部分も多く思える。また、主役級の男性たちに影響を与える女性が何人か登場するが、全く魅力的に見えず、彼女たちのパートが余分に思えることも多かった。その代わりに、戦争の原因ともなった阿片を酷い目に合わされたあとでも彼らから輸入し続けたたのか、女王の意向はどうだったのか。その時に欧州列強の反応はどうだったのか、などを描いて欲しかったと思う。
2017/05/07
だまし売りNo
阿片戦争で英国軍は暴行と虐殺、略奪を繰り返した。中国の都市や港湾は攻撃を受け、多くの人々が死傷し、財産が破壊された。民衆に対する虐待や人権侵害が行われ、その被害は深刻であった。英国軍の軍紀の乱れも戦争原因が阿片という卑劣なものであることが原因である。「イギリスの遠征軍の軍紀がかくもみだれ、兵士が獣性をむきだしにしたのは、戦争目的に正義のかけらが一片もなかったからである」(陳舜臣『新装版 阿片戦争 四』講談社、2015年、115頁)
2023/05/27
しんすけ
民間人の犠牲者が増えていく。 その起因は、清朝政府の無策に発する。イギリス軍による民間からの物資略奪も酷かったが、清の政府軍からも同胞から略奪するものが増えてきた。 それは政府軍が、形だけを急場に整えたもので浮浪者や暴力団も多く含むものだったからだ。 連維材が営む金順記は、清軍とは別の暴力団に襲われることになる。 維材の営みは国の繁栄を促すものであって暴利を貪っているわけではない。しかしルンペンたちは私利私欲の商人たちと区別することはできない。
2020/10/18
シュラフ
阿片戦争(1840~1842年)をテーマにした大作である。今から約40年前に読んだ作品である。登場人物ひとりひとりが陳舜臣に乗り移ったかのようなテンポよい仕上がり感は、いま読んでみてもあせていないと感心してしまった。当時高校生だったわたしは、英国の暴虐に憤慨し、中国に大いに同情して、日中ともに手を取り合って欧米に対抗すべきと考えていた。あれから情勢は大きく変わり、いま日本は欧米とともに手を取って中国に対抗している。歴史の大局からして日本のすすむべき方向性はどうあるべきなのか、あらためて考えさせられている。
2024/07/14
Tanaka9999
4巻完了。最後まで揺れ続けた皇帝も屈服。イギリス側としては無理にでも戦争を起こして自分に有利な状態にもっていきたいのだから、融和策は無理だったのだろう。阿片戦争が1840年、その後日本にも影響が及ぶが1853年の黒船来航で日本開国(それ以前にもアメリカ、イギリス、ロシアが開国を求めている)。(同じく鎖国状態だったにも関わらず)日本が清と比較すると積極的に外の状況を知ろうとしていたのは、少しは誇ってもよいのではなかろうか。
2018/09/30
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