新装版 眠る盃 (講談社文庫 む 5-3)
新装版 眠る盃 (講談社文庫 む 5-3) / 感想・レビュー
アキ
かの有名な「水羊羹」。「まず水羊羹の命は切口と角であります」文章のキレもいい。センスがいい。女っぷりがいい。思いっきり笑わせたり、ほろっとさせたり、人情を感じたり、江戸っ子のきっぷを感じる。そして「字のない葉書」最近絵本が出版されたが、角田光代がこの文章を子ども向けに書いてる時、涙が止まらなかったそうだ。それから「一冊の本」。納戸の小窓から夏目漱石全集にひと筋の光が差し込むのが目の前に見えるような小編。そして最後に「眠る盃」。彼女も頑固で感激屋の父親が産んだひとつの作品なのである。味のあるエッセイ集。
2020/02/12
ちえ
絵本「字のない葉書」を読んだ後に読友さんに教えてもらった二冊のエッセー集のうち1冊。人や物事、自分自身へも向く鋭い観察眼、からりとしながら冷たさを感じない文章。作者の上質な人柄を感じ、早世されたことがひどく残念な気持ちと共に、ドラマの脚本やこの本のような文章を残してくれたこと、とても感謝です。
2019/11/30
ちゅんさん
『字のないはがき』が素晴らしい。『新宿のライオン』も面白い。記憶違いってよくあることだけどライオンって飼えたんですね、驚き。それにしてもこの向田邦子という人はエッセイを書くのが抜群に上手いですね。これ以上のエッセイの書き手います?
2023/09/12
ユメ
やはり向田さんは名手だ、と感じ入る。向田さんは、記憶の底に眠っているまだ現像されていない写真のような摑みどころのないものにピントを当て、見事にエッセイにしてしまう。妹が疎開先から送ってきた字のない葉書、中野のライオンといった思い出のひとコマが、私たちの前に鮮やかに映し出される。「思い出にも鮮度がある」という一文があるが、向田さんには思い出をよみがえらせる手品が使えたのではないかと思ってしまう。少なくとも、彼女が書き残したものは永遠だ。私のような昭和を知らない世代にも読み継がれてゆく。
2018/02/22
mntmt
もう40年くらい前に書かれたエッセイ。確かに、色褪せていない。時代を超えて、読み継がれて行くだろうなぁ。
2017/10/16
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